本研究の目的は,大規模社会調査のデータを横断的研究の観点から二次分析することによって,ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性に及ぼす年齢と性別の影響を検討することであった。分析対象者は4,588名(男性2,112名,女性2,476名)であり,平均年齢は53.5歳(SD = 12.9, 23-79歳)であった。分析の対象とされた尺度は,日本語版Ten Item Personality Inventory (TIPI-J; 小塩・阿部・カトローニ, 2012)であった。年齢と性別,それらの交互作用項を独立変数,ビッグ・ファイブの5つの側面を従属変数とした重回帰分析を行ったところ,次のような結果が得られた。協調性と勤勉性については年齢の線形的な効果が有意であり,年齢に伴って上昇する傾向が見られた。外向性と開放性については性別の効果のみ有意であり,男性よりも女性の外向性が高く,開放性は低かった。神経症傾向については年齢の線形的効果と性別との交互作用が有意であり,若い年齢では男性よりも女性の方が高い得点を示した。
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川本哲也, 小塩真司, 阿部晋吾, 坪田祐基, 平島太郎, 伊藤大幸, & 谷伊織. (2015). ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性の年齢差と性差 : 大規模横断調査による検討. 発達心理学研究, 26, 107–122.
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