あるとしたが,後に Fuller がこのような微生物を「プロバ イオティクス」と命名し, 「腸内菌叢のバランスを改善する ことにより宿主に有用な保健効果をもたらす生きた微生物」 と定義した 1) 。その後,菌体が腸内菌叢を介さずに直接宿 主に作用することも知られるようになり,2002 年には FAO/WHO のワーキンググループによって「適量を摂取し た際に宿主に有用な作用を示す生きた微生物」という定義 が採用された 2) 。 プロバイオティクスは生菌であるため,摂食後腸管に生 きて到達し,長く留まることでその生理機能を最大に発揮 することができる。そのための特性として,①胃酸耐性, ②胆汁酸耐性,③粘液・腸管細胞またはその両者に対する 付着性,などが必要とされる。元々ヒト腸管に常在するタ イプの乳酸菌にはそれらの性質を保持しているものが多く, Lactobacillus 属や Biidobacterium 属の菌種がプロバイオ ティクスとして主に活用されている(表 1) 。例えば,ヒト 腸管由来の Lactobacillus (以下 Lb.)gasseri SBT2055 株に ついて,10 11 cfu(colony forming unit)を含む菌体粉末を 1 週間摂取した場合,摂取終了後 90 日が経過したヒト糞便 からも 10 3 ~10 4 cfu/g の菌数が検出される例が認められ,当 菌株がヒト腸管内に長期間留まることが示されている 3) (図 2) 。一方で,植物素材から多く分離される Lb. plantarum 等の一部の乳酸菌についても消化液耐性があることがわか り,現在これらの菌株もプロバイオティクスとして利用さ れている。 図 1. 乳酸菌の機能性成分とその作用
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Uenishi, H., & Seto, Y. (2013). 乳酸菌の生理機能とその要因. 日本調理科学会誌, 46(2), 129–133.
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