印象管理戦略としての偽りの実効化:多元的無知のプロセスにおける社会的機能

  • 宮島 健
  • 山口 裕幸
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Abstract

集団や社会において,集団成員の多くが受け入れていない不支持規範が維持・再生産される心理的メカニズムとして,多元的無知のプロセスによるはたらきが示唆されている。その集団内過程において,偽りの実効化は不支持規範の安定的再生産へと導く社会的機能を有することが示唆されている。しかしながら,偽りの実効化を引き起こす心理的メカニズムは明らかにされていない。本研究では,日本における男性の育児休業を題材として,他者に対する印象管理動機が偽りの実効化を誘発するという仮説について検証した。本研究の結果,多元的無知状態の人々では印象管理動機が喚起され,その結果として,逸脱者に対する規範の強要(i.e., 実効化)が誘発されることが明らかとなった。これは,多元的無知状況下において,他者信念を誤って推測した人々による逸脱者への規範の強要は,不支持規範を維持・再生産させようと意図しているのではなく,自己呈示的な動機に基づいて行動しているに過ぎないという印象管理戦略仮説の妥当性を示している。

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宮島 健, & 山口 裕幸. (2018). 印象管理戦略としての偽りの実効化:多元的無知のプロセスにおける社会的機能. 実験社会心理学研究, 58(1), 62–72. Retrieved from https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjesp/advpub/0/advpub_1714/_pdf/-char/ja

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