近年、アイデンティティ政治は、社会的マイノリティのための人権政治として疑問視されている。1)この戦略は、ある集団を唯一の「アイデンティティ」のもとに一枚岩にするため、その集団の規範に従って生きられない人々を排除し、疎外する。アイデンティティ・ポリティクスに対するこうした疑問にもかかわらず、一部の学者や活動家は、アイデンティティ・ポリティクスをマイノリティにとって有用な戦略として維持し続けてきた。本稿では、カナダ合同教会におけるレズビアン・ゲイ・アクティヴィズムを事例として取り上げ、上記のようなアイデンティティ・ポリティクスに対する疑問を考察し、その限界と可能性を分析する。キリスト教会の場合、レズビアンやゲイ・アクティヴィズムの多くは、自分たちが社会におけるマイノリティであることを「受け入れる」ことを維持してきた。しかし、このような戦略はマジョリティの規範を変えることはできず、結果としてマイノリティの間に分裂をもたらす。この限界を克服するために、本稿では、マイノリティの新たな地平を見出す別の方法を検討する。
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堀江有里. (2010). 「受容」を求める運動戦略への批判的考察 -カナダ合同教会における同性愛者の運動を手がかりに-. 女性学評論, 24, 75–98. Retrieved from http://doi.org/10.18878/00002402
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