本稿では、近年多く発生している炎上の実態と、炎上に加担している人の属性について、実証分析 によって以下 6 つの仮説検証を行う。①炎上件数は近年増加している。②企業に関連する炎上が多く 発生している。③炎上加担者は少ない。④炎上加担者はインターネットヘビーユーザである。⑤炎上 加担者は年収が少ない。⑥炎上加担者はインターネット上で非難しあって良いと考えている。 まず、記述統計量分析の結果、仮説①-③はいずれも支持された。つまり、近年多く炎上が発生し ており、心理的・金銭的被害が出ているが、実際に炎上に加担している人は非常に少なく、具体的に は約 1.5%であった。また、2011年-2014年にかけての炎上件数は、いずれも年間 200 件程度であった。 次に、計量経済学的分析の結果、炎上加担行動に対して、「男性」「年収」「子持ち」「インターネット 上でいやな思いをしたことがある」「インターネット上では非難しあって良いと思う」等の変数が有意 に正の影響を与えていた一方、「学歴」や「インターネット利用時間」等の変数は有意な影響を与えて いなかった。このことから、仮説⑥は支持された一方で、④、⑤は棄却され、炎上加担者は社会的弱 者、バカ等としている先行研究と実態が乖離していることが確認された。
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山口真一. (2015). 実証分析による炎上の実態と炎上加担者属性の検証. 情報通信学会誌, 33(2), 53–65.
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