審査員からのコメントへの対応と修正原稿の提出時には

  • 東海正
ISSN: 1349-998X
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Nippon Suisan Gakkaishi 76(1), 80 82 (2010) 特集 論文作成から出版まで 審査員からのコメントへの対応と修正原稿の提出時には 東 海 正 東京海洋大学海洋科学部 Responding to reviewers' comments TADASHI TOKAI 1. 審査結果を受け取ったら 投稿してから 1, 2 ヶ月ほどで,審査(査読)の結果 が送られてきます。原稿の審査を担当する編集委員から の手紙と,それとは別に審査員(査読者)2 名のコメン トが付けられています。この審査員は,公平な判断と自 由な審査を行うために匿名であり誰かは分かりません。 編集委員からの手紙には,原稿に対する全体的な評価と 受理の可否について書かれています。多くの場合では 「適切に修正されれば受理も可能と考えられる。 」と書か れていたりします。こうなればしめたもので,編集委員 は受理しても良いと判断していることが想像できます。 それでも実際には原稿の修正に大変難しい問題を突きつ けられることもあるので,気は抜けません。次に,審査 員からの個別のコメントをみていきます。時には,その 冒頭に"This is without doubt the best paper on ~ that I have ever seen.(これは疑いなく,これまで見てきた中 で~に関する最高の論文である。 ) "なんて書いてあれ ば,できるだけ早く受理されるようにと原稿の修正にも 力が入るものです。しかし,このような好意的なコメン トばかりとは限りません。厳しい意見,時には研究の意 義さえも否定するかのようなコメントに出会うこともあ ります。ざっとコメントを見て「なんでこんなことも審 査員は分からないのだ」と怒ったり,ガッカリしたと き,私は次のようにしています。まず,2, 3 日は知らな い振りをして,コメントも原稿も見ないようにします。 実は怒ってしまった直後にどうしても腹の虫がおさまら ずに反論を書いたこともありましたが,この反論を絶対 に外に出すことはありませんでした。なぜならともかく 頭が熱くなっていますから,編集委員や審査員に対して 非常に失礼なことを書いていたりしたのです。後になっ て読み返すと赤面するばかりで,門外不出としました。 冷静になった頃に,審査員が分からなかったことや誤 解していたことは,すべて自分の原稿の書き方が良くな かったからではないかと考えて,どうすれば理解される ようになるか,文を改善,加筆するなり,データを追加 するなり,説得する方法を考え始めます。またその際に は,日本水産学会誌と Fisheries Science の編集委員は, 審査員とともに無報酬のボランティアで投稿された原稿 を読んでくれていることを思い返すようにしています。 職業として編集者を務めている人もいるような海外の雑 誌もあると聞きます。また,日本の雑誌でも編集委員や 審査員に謝金を払っているところもあるようですが,そ の金額は微々たるものです。研究者は誰だって,自分の 時間はできるだけ研究に向けたいですし,自分の原稿を 書きたいと思っています。編集委員や審査員の多くは, その研究分野で活躍されている人が多く,忙しい中で貴 重な時間を使って投稿された原稿を見てくれています。 また,そのような忙しい中で書かれたコメントですの で,必ずしも丁寧な表現では書かれていないこともあり ます。でも,怒る必要はありません。淡々と対応してい けば良いだけです。ただ単に「曖昧である。 」 「文章が整 っていない。 」とコメントされていて,どこに問題があ るのかはっきりしない場合に出会うと,さすがにコメン トの意味するところを思い量って原稿を直すしかありま せん。その修正が適切だったかは編集委員の判断に委ね ることになります。いずれにしても,審査と編集の作業 に対して感謝をすることから始めたいものです。 審査員のコメントにざっと目を通したら,それぞれの コメントの対応が容易なものからいくつかに分けてみま しょう。例えば,◯ タイプミスなどの容易に直せるもの, ◯ 文章の構成の流れの変更や組み替えなど少し時間のか かるもの,◯ データの解析のやりなおしや実験の追加な どの手がかかるもの,そして◯ どうしても従えないコメ ントに分けます。対応が容易な◯ から順に◯ ,◯ と原稿 の修正に手をつけると取り付きやすいです。書き方や表 現に対するコメントについては,原則的に受け入れる

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東海正. (2010). 審査員からのコメントへの対応と修正原稿の提出時には. NIPPON SUISAN GAKKAISHI (Vol. 76, pp. 80–82). 公益社団法人 日本水産学会. Retrieved from http://joi.jlc.jst.go.jp/JST.JSTAGE/suisan/76.80?from=CrossRef

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