炎症性疼痛とTRPA1

  • 辛島; 裕士
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transient receptor potential(TRP)チャネルは,さまざまな部位に発現し,多岐にわたる生体 機能に関与する.そのうち,一次求心性侵害受容線維終末に発現が多くみられる TRPA1 は,痛みに 関係するチャネルとして研究が進んでいる.TRPA1 は,多様な外因性の刺激物質によって活性化さ れて急性痛を起こすだけでなく,炎症に関与する内因性物質によっても活性化される.さらに炎症時 には発現量の増加や,細胞表面への移動がみられることより,TRPA1 は炎症性疼痛にも大きく関与 する可能性が考えられている.TRPA1 チャネル活性化による炎症性疼痛の増強は,臨床でよく用い られている麻酔薬でも認められることが報告されており留意する必要がある.最近,TRPA1 の発現 は,一次求心性線維の末梢側だけでなく中枢側にもみられ,中枢側での TRPA1 チャネル活性化は発 痛ではなく,逆に鎮痛となる可能性が示された.このことも考慮に入れたうえで,TRPA1をターゲッ トにした鎮痛薬創薬に期待したい.

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辛島; 裕士. (2017). 炎症性疼痛とTRPA1. 日本ペインクリニック学会誌, 24(4), 308–317.

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