野外で内臓摘出したエゾシカ枝肉の衛生状況

  • 松浦 友
  • 伊吾田 宏
  • 岡本 匡
  • et al.
ISSN: 0385-437X
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Abstract

日本では,食肉として流通するニホンジカ( Cervus nippon )の内臓摘出は解体処理場で行うことが推奨されている.それに対してシカ肉の流通が盛んな欧州連合では,肉の品質保持および衛生的観点から,野外での内臓摘出が認められている.本研究では,野外での内臓摘出の導入について検討するため,野外で内臓摘出した肉の衛生状態を明らかにした.調査は従来の方法である解体処理場で内臓摘出した4個体の枝肉と,野外で内臓摘出した10個体の枝肉を用い,肉表面の一般生菌,大腸菌群,O-157,カンピロバクター,サルモネラ,エルシニアについて比較した.野外の内臓摘出は,北海道北部に位置する西興部村で実施した.従来の方法は,北海道西部にある解体処理場のシカを用いて実施した.ふき取り検査の結果,どちらの肉も一般生菌以外は検出されなかった.また,どちらの肉も一般生菌数は汚染の目安となる基準値より低く,とくに積雪期で顕著だった.これにより,野外でも衛生的な内臓摘出が可能であることが明らかになった.ただし,今回実施した野外での内臓摘出は,衛生的な状態を保つためにできるだけ配慮した手法を取っており,衛生管理の正確な知識と技術が必要である.欧州連合の衛生管理をモデルに野獣肉検査資格制度を導入し,捕獲個体の検査体制を整備した上で,野生動物に特化した一次処理方法として,野外での内臓摘出を検討すべきであると考えられた.

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松浦友紀子, 伊吾田宏正, 岡本匡代, & 伊吾田順平. (2015). 野外で内臓摘出したエゾシカ枝肉の衛生状況. 哺乳類科学, 55(1), 11–20.

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