本稿は ,2005年総選挙以後の小泉政権において ,政策決定過程がどのように変化したのかを論じる。第 1に, 小泉首相が政権発足直後に打ち出したものの ,与党や省庁の反対にあって頓挫していた政策が ,総選挙以降, 小泉のリーダーシップによって次々と決められていったことを示す。第 2に,2005 年末以降 ,「官邸主導」による政策決定を可能にしてきた経済財政諮問会議の役割が変質し ,自民党•官僚主導の政策決定が復活したという見解に対し ,歳出•歳入一体改革の決定過程は依然として「首相主導」であったことを明らかにする。第 3に,2006 年の通常国会では重要法案が軒並み成立しなかった。これも ,会期延長を求める与党の声を無視した「首相主導」の結果であると論証する。総選挙での大勝によって小泉の自民党内での影響力が飛躍的に高まった結果 ,政策決定過程が先述したように変化したというのが本稿の主張である。
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上川龍之進. (2007). 2005年総選挙後における政策決定過程の変容. 選挙研究, 22, 54-68,195. Retrieved from http://ci.nii.ac.jp/naid/130001554953/
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