A case study of feral cat predation on a weaning juvenile of the Amami rabbit as revealed by a camera trap survey in Amami-Oshima Island in Japan

  • Suzuki M
  • Oumi S
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中琉球の哺乳類の生態,行動,保全 摘 要 イエネコ Felis catus による在来種の捕食は,日本にお いても特に島嶼部において深刻な問題である.鹿児島県 奄美大島と徳之島にのみ生息する遺存固有種アマミノク ロウサギ Pentalagus furnessi の養育行動を 2017 年 1 月か ら 3 月にかけて調査していたところ,繁殖穴で離乳間近 の幼獣がイエネコに捕獲される動画を自動撮影カメラに よって撮影したので報告する.繁殖穴における出産は 2017 年 1 月 14 日~ 15 日の夜に行われたが,幼獣(35 日齢) がイエネコに捕獲されたのは 2 月 19 日 1 時ごろで, この前日は繁殖穴を母獣が埋め戻さずに入り口が開いた ままになった初めての日であった.この動画の撮影後, 幼獣は巣穴に戻っていないことから,捕食あるいは受傷 等の原因で死亡した可能性が高い.イエネコは幼獣の捕 獲から約 30 分後,および 1 日後と 4 日後に巣穴の前に 出現し,一方アマミノクロウサギの母獣は 1 日後に巣穴 を訪問していた.幼獣の捕食は,本種の個体群動態に大 きな影響を与えうる.本研究により,アマミノクロウサ ギに対するイエネコの脅威があらためて明らかとなっ た.山間部で野生化したイエネコによるアマミノクロウ サギ個体群への負の影響を早急に取り除く必要がある. は じ め に イエネコ Felis catus による在来種の捕食は,多くの種 を絶滅に追いこむなど世界的に深刻な問題となってい る.特に面積が小さく,固有種や希少種が生息する島嶼 部においては,イエネコの捕食によって,約 14%の脊 椎動物が絶滅し,さらに約 8%が絶滅の危機にあるとい う報告がある(Medina et al. 2011) .このような生態系へ の影響力の大きさから,イエネコは国際自然保護連合 (IUCN) の選出した 「外来侵入種ワースト 100」 に含まれ, 日本においては,日本生態学会「日本の侵略外来種ワー スト 100」の 1 種に指定され,また環境省「生態系被害 防止外来種リスト」では「緊急対策外来種」に指定され ている.島嶼部では,北海道の天売島(池田・立澤 2005)や小笠原諸島(堀越ほか 2009) ,沖縄北部のやん ばる(城ヶ原ほか 2003)などで,イエネコによる在来 種の捕食とそれによる在来種の個体数減少の可能性が報 告されている. アマミノクロウサギ Pentalagus furnessi は鹿児島県の 奄美大島と徳之島にのみ生息する遺存固有種である.ア マミノクロウサギは 1980 年代の農地開拓や林業による 大規模伐採,さらに奄美大島では 1979 年のフイリマン グース Herpestes auropunctatus 導入によって個体数を減 らし,環境省の選定したレッドリスト 2017 年版で絶滅 危惧 IB 類に指定されている(URL:http://www.env.go. jp/press/files/jp/105449.pdf;2017 年 8 月 24 日確認) .2003 年時点でのアマミノクロウサギの生息数は,奄美大島 で 2,000-4,800 頭, 徳 之 島 で 100-200 頭 と 推 定 さ れ て いる(Sugimura and Yamada 2004) .ハブ Protobothrops flavoviridis やクマネズミ Rattus rattus の個体数調整のた めに奄美大島に導入されたフイリマングースに関して は,アマミノクロウサギをはじめ在来の小型哺乳類や両 生類,昆虫などを捕食し,それらの個体数を著しく減ら したため,2000 年からフイリマングースの根絶を目指 し捕獲事業が始まった.近年,これらの事業の成果とし て在来種の個体数が回復してきているとの報告がある (Watari et al. 2013) .一方で,イエネコによる在来種の 捕食が明らかになってきた.2008 年に環境省がアマミ ノクロウサギの幼獣の生息状況を確認するために奄美大 奄美大島における自動撮影カメラによるアマミノクロウサギの 離乳期幼獣個体へのイエネコ捕獲の事例 鈴木真理子 1 ,大海 昌平 2 1 鹿児島大学国際島嶼教育研究センター 2 奄美両生類研究会 哺乳類科学 57(2):241-247,2017 ©日本哺乳類学会

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Suzuki, M., & Oumi, S. (2017). A case study of feral cat predation on a weaning juvenile of the Amami rabbit as revealed by a camera trap survey in Amami-Oshima Island in Japan. Mammalian Species, 57(2), 241−247. [in Japanese with English abstract]. Retrieved from http://www.env.go.

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