細胞質遺伝の最初の報告は, オシロイバナにおける母性遺伝と, ゼラニウムにおける両性遺伝の同時掲載 であった. 母性遺伝の成立には, 花粉の雄原/精細胞から物理的にオルガネラが排除される「物理的排除」に加え て, オルガネラDNAが選択的に分解される「選択的消化」のシステムが特に重要である. 色素体とミトコンドリアが, 母性遺伝するか両性 父性遺伝するかの運命の分岐点は花粉第一分裂直後であり, 雄原細胞内のオルガネラ内の DNAは分解されるか増幅するかのどちらかに二極化する. 本稿では, 被子植物にみられる細胞質遺伝の複雑さと 多様性を念頭において解説する.
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Nagata, N. (2011). Cytoplasmic inheritance in angiosperms. PLANT MORPHOLOGY, 23(1), 25–33. https://doi.org/10.5685/plmorphol.23.25
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