本論文の目的は,二者関係データをマルチレベル分析に適用した場合に生じるいくつかの問題点について とりあげ,その問題がなぜ生じるのか,そしてどのようにそれを解決するかについて提案することである。 1 つは,ペアデータの平均値を階層線形モデル(HLM)のレベル 2 の説明変数として用いるときに生じるバ イアスの問題をとりあげた。シミュレーションの結果,HLMでは深刻なバイアスが生じる一方,マルチレ ベルSEMではそのバイアスが生じないことを示した。次に,ペアデータに対してマルチレベルSEMを適 用した場合に生じる不適解の問題を取り上げた。ペアデータはペアレベルの推定が不安定になりやすいため, 分散が負に推定される不適解が頻繁に生じる。この問題について,いくつかのサンプルデータからベイズ推 定を行うことで回避できることを示した。最後に,マルチレベル SEMの個人レベル効果の解釈の難しさに ついて議論した。 キーワード:
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Shimizu, H. (2017). Issues and solutions for problems in multilevel analysis with dyadic data. THE JAPANESE JOURNAL OF EXPERIMENTAL SOCIAL PSYCHOLOGY, 56(2), 142–152. https://doi.org/10.2130/jjesp.si3-1
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