教育経営の分野では近年、教育的働きかけや教育施策、行政的条件の結果を数量的に扱い、 多様な統計的手法によって分析が行われるようになってきている。しかし、高度な手法が用い られていても、その結果に対する解釈は理解困難なものもある。このような統計手法の基礎と なっている統計的検定について、効果量とサンプルサイズの二つの側面から、教育経営学での 適切な扱い方を検討した。効果量は統計的有意性とともに報告することが求められたり、多く の研究の成果を統合するためのメタ分析で用いられたりする概念でもあり、今後は研究結果報 告の中で記述することが望ましい。分析手法によって効果量の算出法は異なるが、Cohenによ る効果量の目安を紹介し、研究成果の有効性の判断基準として活用することを提案した。サン プルサイズについては、有意水準や検定力、効果量の大きさから、適切な大きさが算出できる。 小さすぎるサンプルは研究者の害になり、大きすぎるサンプルは検定の意味をなくしたり、被 験者に無用な負担を強いたりすることになるため、適切なサンプルサイズを意識して研究を行 うことを提案した。
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植田義幸. (2012). 教育経営研究における統計的手法の留意点(1) ―検定における効果量とサンプルサイズについて―. 四天王寺大学紀要, 54, 481–490.
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