Fabrication of Powdered Pressure-Sensitive Adhesives Based on the Habits of Aphids

  • FUJII S
  • NAKAMURA Y
  • AKIMOTO S
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Abstract

現在から 30 億年以上前に地球上に生物が生まれ,3 億年 前に昆虫が既に存在していたことが知られている 。さらに, 恐竜が栄えたジュラ紀 (約 2 億 130 万年前~約 1 億 4500 万年 前) および白亜紀 (約 1 億 4500 万年前~ 6600 万年前) を 通じて昆虫,植物が爆発的に多様化した。その後,大絶滅が 起きたものの,生き残った生物は現在の姿へと進化してきた。 ちなみに,現在の我々に近い「ヒト」であるホモ=サピエン スが誕生したのは, "わずか"数十万年前である。生物は, 生き残り子孫を残すため,何億年という単位の時間をかけて, 環境に適応して高効率化,省エネルギー化を可能にする精密 な「かたち」や巧妙な「しくみ」を物理・化学の法則に基づ き構築してきた。このような生物が有する形態・構造とそれ らが生み出す機能,および生物が構築したプロセスに倣いモ ノづくりを行うことを, 「バイオミメティックス (生物模倣技 術) 」または「バイオミミクリー」などという。これまでに, バイオミメティックスにより,オナモミの構造から面ファス ナー,カワセミのくちばしの形から新幹線の先頭車両の形状, サメ肌のリブレット構造から水着,蚊の口吻から痛みのない 注射針等が開発されている。また,生物が構築したシステム に倣い,シロアリのアリ塚から自然空調システム,オジギソ ウの屈曲運動から先端可動式内視鏡が開発されている。 さらに, 落ち葉のデザインを取り入れた汚れの目立ちにくいカーペッ トも作製されている。その他,バイオミメティックスから生 み出された製品,技術については成書を参考にされたい 。 このようなバイオミメティックスが世界的に注目を集める中, より積極的に生物と人類が構築してきた工学を結び付けて新 規材料,技術を創出し持続可能な社会の構築を目指す「生物 規範工学」という考え方が提案され,我が国において,科学 研究費補助金 新学術領域研究「生物多様性を規範とする革 新的材料技術」が立ち上がり,この領域では生物学者,工学 者が協同し,研究を推進している 。 本稿では,昆虫であるアブラムシ (アリマキ) が有する液体 粉体化技術・プロセス (リキッドマーブル作製技術) を規範と し,界面化学,高分子化学を学術基盤として粉体状の粘着剤 の創出を行った研究について解説する 。 2 .リキッドマーブルとは リキッドマーブルとは,疎水的な表面を有する固体粒子が 気液界面に吸着することで気中にて安定化された液滴であり, 通常サブミリメートルからセンチメートルサイズの直径,数 マイクロリットルから数千マイクロリットルの体積を有する (図 1) 。リキッドマーブルは,分子レベルの界面活性 剤では安定化が困難な Liquid-in-Gas 型分散体である。粒子の 界面吸着現象は,界面自由エネルギーを駆動力としている。 すなわち,気液界面に粒子が吸着していない (粒子が気中に 存在する) 状態と比べ,界面に粒子が吸着した状態の方が, エネルギー的に安定であるため,粒子の界面への吸着が起き る。界面自由エネルギーがドライヴィングフォースとして働 くため,リキッドマーブル作製は大量の電力・磁力を必要と しない。 界面に吸着した真球状粒子の吸着エネルギー,つまり球状 の粒子を気液界面から剥がし気相に移動させるために必要な エネルギー (ΔG) は,以下の式のように表すことができる 。 ( ) 2 2 cos 1 θ π γ − = ∆ a G gl ここで,γ gl は気液界面の表面張力,a は粒子半径,θは (粒子 表面と気液界面がなす液相側の) 接触角である。この式から, 粒子径,気液界面張力が大きく,接触角が 90° に近いほど吸 着エネルギーは大きいことが理解できる。サブミクロンメー トルサイズ以上の微粒子が適切な接触角で吸着した際の吸着 エネルギーは非常に高く,一度界面に吸着した粒子は,界面 からの脱離が起こりにくい。 アブラムシの蜜輸送技術に倣った粉体粘着剤の創出 藤井 秀司 a ,中村 吉伸 a ,秋元 信一 b a 大阪工業大学 工学部 応用化学科 (〒 535-8585 大阪府大阪市旭区大宮 5-16-1) b 北海道大学 農学研究院 昆虫体系学研究室 (〒 060-8589 北海道札幌市北区北 9 条西 9 丁目)

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FUJII, S., NAKAMURA, Y., & AKIMOTO, S. (2017). Fabrication of Powdered Pressure-Sensitive Adhesives Based on the Habits of Aphids. Journal of The Surface Finishing Society of Japan, 68(3), 121–126. https://doi.org/10.4139/sfj.68.121

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