一般的に, 人は自分自身の思考や行動について, 自分でモニターし, コントロールできていると考えている. しかし, 近年の認知心理学の研究結果より, 人の態度や行動には意識的な部分 (顕在的態度) と無意識的な部分 (潜在的態度) があることが明らかになってきた. GreenwaldとBanajiらによって, IAT (Implicit Association Test) という潜在的態度の測定法が提案・開発されて (Greenwald & Banaji, 1995; Greenwald, McGhee, & Schwartz, 1998) 以来, 潜在的態度を扱う研究は激増してきた. そして, 偏見, ステレオタイプ, 抑うつや社会的不安, 攻撃性など, 人間のさまざまな行動と潜在的態度との関連が指摘されつつある. 本稿では, 特に潜在的態度と実際の行動との関連に焦点をあて, それらの先行研究のレビューを行う. そして, それをもとに, 潜在的態度測定方法の応用可能性, また潜在的態度測定の社会技術への適用可能性について議論する.
CITATION STYLE
KOBAYASHI, C., & OKAMOTO, K. (2004). Applicability of the Implicit Association Test (IAT) to Industrial Psychology for Society. SOCIOTECHNICA, 2, 353–361. https://doi.org/10.3392/sociotechnica.2.353
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.