Abstract
Keywords: ZnO, SrTiO 3 , BaTiO 3 , BN, semiconductor, first principles calculation, point defect 2013年 2 月 3 日受理[doi:10.2320/materia.52.350] 最 近 の 研 究 酸化物・窒化物半導体における 点欠陥の電子構造と機能 ―第一原理計算による新しい理解― 大 場 史 康 . は じ め に 酸化物や窒化物等の化合物半導体では,複数のサイトにお ける空孔や格子間原子,アンチサイト原子といった多様な欠 陥種が存在する.さらに,各欠陥がフェルミレベルに応じて 様々な荷電状態やスピン状態をとることで多彩な欠陥由来の 電子状態が生じ,興味深い電気的,光学的,磁気的機能をも たらしている.酸化物・窒化物半導体中の点欠陥は,その重 要性から数多くの研究の対象となってきた.しかしながら, 点欠陥の実験による直接的な検出や評価は容易でなく,多く の系において点欠陥の原子・電子レベルでの理解は十分にな されていない. 点欠陥の原子・電子構造の理解には,計算科学的アプロー チも有効である.とくに第一原理計算を用いた研究が近年盛 んに行われており,有益な知見を与えている.本稿では, SrTiO 3 , BaTiO 3 等のペロブスカイト酸化物および ZnO にお ける固有点欠陥の原子・電子構造や点欠陥由来の電気的・光 学的機能,六方晶 BN へのキャリアドーピングに関する著者 らの最近の研究 (1) (5) を紹介する. . ペロブスカイト酸化物における点欠陥の特異な原 子・電子構造 SrTiO 3 は代表的なペロブスカイト酸化物であり,近年そ のヘテロ界面や超格子における 2 次元輸送特性が活発に研 究されている (6) .一方で,還元や Ar + イオン照射された SrTiO 3 の薄膜から,バンドギャップ 3.3 eV に比べて小さな エネルギーに対応する緑色(2.4 eV)あるいは青色の発光(2.9 eV)が観測される (7) ことや,還元や Sr/Ti 比の調整がなされ たドーパント無添加 SrTiO 3 薄膜において強誘電性が発現す る (8)(9) ことなど,興味深い特性が報告されている.これらの 特性は,バンドギャップ内の深い準位や局所的な分極を有す る点欠陥に由来すると考えられているが,その詳細は不明で ある.SrTiO 3 の還元に伴う欠陥としては,O 空孔や O 空孔 のクラスター (10)(11) ,O 空孔と Sr 空孔の複合体 (12) 等が考え られてきた.一方で,著者らは第一原理計算の結果に基づい て,Sr サイトから大きく変位した Ti オフセンター・アンチ サイト欠陥が,SrTiO 3 の電気的・光学的特性において重要 な役割を果たすことを提案している (1) . SrTiO 3 はバンド絶縁体であるが,点欠陥の形成に伴っ て,伝導帯下端付近の主成分である Ti 3d に由来した局在 電子状態が生じる可能性がある.後述のように,Ti オフセ ンター・アンチサイト欠陥と O 空孔は,実際に Ti 3d 由来 の局在電子状態をバンドギャップ内に形成する.このような 電子状態は,密度汎関数理論への近似として通常用いられる 局所密度近似(LDA)や一般化勾配近似(GGA)では十分に取 り扱えない.そこで,本研究では GGA(PBE)+U 法 (13) (15) (U=5.0 eV, J=0.64 eV)により Ti 3d 状態のオンサイト・ クーロン相互作用を補正した.計算は,平面波基底 PAW 法 (16) (VASP コード (17)(18))により行った.また,希薄な点 欠陥の電子状態を精確に予測するため,静電ポテンシャルの アラインメントやバンド占有率およびバンドギャップの補正 を適用した (1) .
Cite
CITATION STYLE
Oba, F. (2013). Electronic Structure and Functions of Point Defects in Oxide and Nitride Semiconductors: Renewed Understanding from First-Principles Calculations. Materia Japan, 52(7), 350–356. https://doi.org/10.2320/materia.52.350
Register to see more suggestions
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.