進化医学によると、190万年前に始まったヒト種としての進化の過程で、約1万年前の農業導入前までほとんど99%の時間を、ヒトは運動量の多い狩猟採集生活をしていたと考えられる。食は、自生している植物性食品を主体に動物性食品も加えた雑食性で、この間の身体活動も含めた生活環境に適応していたと考えられる。従って、ヒトの遺伝子にこの時代までの生活環境の情報が分子的記憶として書き込まれていると言える。旧石器時代までの植物性食を主体とした食物の代謝後には体内でアルカリ成分が酸性成分より多く生成され生理的代謝性アルカローシスが生じていたと推測される。これに対して、現代食は構成食品の特色から必ず酸生成量がアルカリ生成量を超えるので、生理的代謝性アシドーシスを惹起する。この総説では、酸-塩基平衡に関する遺伝子上の適応条件と現代食の代謝後の生理的条件が合致しない事が高尿酸血症・痛風発症の一要因になりうることを議論する。これを基に、従来からのこの疾患に対する食の介入に新たに酸-塩基平衡の視点から下記の条件を提案する。1)食の代謝により生成される酸負荷を70mEq/day以下とする。2)食材の準備段階で、たんぱく質含量(P)(g表示)とK+含量(K+)(mEq表示)から求めたP/K+比を1.5以下とする。3)尿pHは6.0以上にする。(著者抄録)
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Seyama, I., Nomura, K., Shimooka, R., Takagawa(Kanbara), A., & Hakoda, M. (2016). Evolutionary perspective on the etiology of hyperuricemia and gout. GOUT AND NUCLEIC ACID METABOLISM, 40(2), 115–122. https://doi.org/10.6032/gnam.40.115
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