アレルギー性鼻炎治療における鼻噴霧用ステロイド薬の新たな位置づけ

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アレルギー性鼻炎は,鼻腔への抗原暴露と炎症性メディエーターの放出によっ て引き起こされるアレルギー性炎症である.このようなアレルギー性炎症に対し て,強力な抗炎症作用を持つ局所剤である鼻噴霧用ステロイド薬は,理想的な製 剤といえる.2008年以降に1日1回投与の鼻噴霧用ステロイド薬が登場し,アレ ルギー性鼻炎治療における強力なツールになった.鼻噴霧用ステロイド薬は,現 在のアレルギー性鼻炎治療薬の中では最も効果の強い薬剤であり,多くの国際的 なガイドラインで,鼻噴霧用ステロイド薬の単独投与をまず選択すべき治療(フ ァーストライン)として位置づけている.一方,本邦には鼻アレルギー診療ガイ ドラインがあり,その2016年版から,軽症患者にも選択でき,さらに花粉症の初 期療法薬としての位置づけが示されるようになった.2015年米国オバマ大統領に よって Precision Medicine Initiative が発表され,precision medicine の概念が注 目されるようになった.precision medicine は,当初がん治療の分野に導入され, その後さまざまな領域へ広がりを見せ,アレルギー性鼻炎においては,2017年に その実施に向けての提案が示された.その中で鼻噴霧用ステロイド薬は第1段階 から考慮する治療薬と位置づけられている. 一方,最近でも,鼻噴霧用ステロイド薬は,抗ヒスタミン薬のおよそ4分の1 の患者に処方されているに過ぎず,また,点鼻薬は,内服薬に比較しアドヒアラ ンスが不良であることが知られている.この薬剤導入やアドヒアランスの障壁の 要因のひとつとして,鼻噴霧用ステロイド薬のにおいや味,液だれなど感覚的な 特性に嗜好性があることが関連している.

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アレルギー性鼻炎治療における鼻噴霧用ステロイド薬の新たな位置づけ. (2020). Nippon Jibiinkoka Gakkai Kaiho, 123(1), 30–35. https://doi.org/10.3950/jibiinkoka.123.30

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