Renal Rehabilitation for Patients with Chronic Kidney Disease and Dialysis

  • Ito O
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Abstract

はじめに 本邦の維持透析患者数は年々増加の一途を辿っ ている.この増加は,人口の高齢化,高血圧や糖 尿病など腎不全に至る危険性のある疾患への罹患 率の上昇,さらに,透析療法の進歩,合併症対策の 進歩による延命効果に起因すると考えられる.慢 性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の治療 においては,その進行を防ぎ,透析導入を遅らせる 有効な対策を立てることが急務である.CKD 患者 では,体液異常・貧血・血行動態異常などの合併に よって心機能が低下し,長期間の安静による廃用 と相俟って運動耐容能の低下を招いている.いく つかのガイドラインでは,CKD 患者への運動療法 の重要性が述べられているが,理想的な運動療法 のプロトコールは十分に確立されていない.本稿 では,保存期 CKD 患者や透析患者への運動療法 の効果や内容について概説する. 保存期 CKD 患者の運動療法 保存期非透析 CKD 患者の身体機能は低下して おり,歩行速度や ý 分間歩行距離は健常人の þ 割 程度に低下,timed up and go(TUG)時間は û 割 程度延長していた ø) .さらに,これらの身体機能低 下は CKD 患者の生命予後に大きく影響しており, 腎機能や血清バイオマーカーより,歩行速度や TUG 時間のほうが ú 年後の死亡リスクをより強力 に予想できることが明らかになった ø) 日本腎臓学会による「エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン ù÷÷Ā」 ù) では,CKD 患者におけ る運動については,尿蛋白や腎機能障害を悪化さ せるという懸念から推奨してきた運動制限に臨床 的な根拠はなく,CKD 患者においても,身体活動 の低下は心血管疾患による死亡のリスクであり, 運動療法が重要となり得ると述べられている.た だ,運動が問題ないとする報告の多くは,中等度の 運動強度(ü.÷-ý.÷ METs 程度)での検討である. これ以上の運動強度に関してはエビデンスがなく, 個々の患者の医学的状況のみならず,社会的・精 神活動的な必要性も考慮し,個々に検討すべきで ある.また, 急性に増悪している CKD や, ネフロー ゼ症候群など高度蛋白尿を合併する CKD での運 動の是非に関しても,エビデンスはない.このた め,最 新 の 日 本 腎 臓 学 会 の「CKD 診 療 ガ イド ù÷øù」 ú) においては,CKD の各ステージを通して, 過労を避けた十分な睡眠や休養は重要であるが, 安静を強いる必要はないとの記述に留まっている. 一 方,CKD を提 唱した Kidney Disease:Im-proving Global Outcomes(KDIGO)の Clinical Practice Guideline û) では,心血管系の健康や運動 耐容能の改善に有効である運動を最低 ú÷ 分/回, 週 ü 回を目標として行うことを推奨している.米 国スポーツ医学会から発表された「運動負荷試験 教育講座 Jpn J Rehabil Med 2017;54:788-792

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Ito, O. (2017). Renal Rehabilitation for Patients with Chronic Kidney Disease and Dialysis. The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine, 54(10), 788–792. https://doi.org/10.2490/jjrmc.54.788

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