記憶とは自己の経験が保存され、その経験が後になって意識や行為のなかに想起・再現される現象である。記憶はいくつかの観点から分類されてきた。保持時間による分類としては、即時記憶・近時記憶・遠隔記憶・短期記憶・長期記憶などの用語がある。記憶内容による分類では、陳述記憶・非陳述記憶・エピソード記憶・意味記憶・手続き記憶などの用語が用いられてきた。さらに、最近では作業記憶や展望的記憶などの用語もよく見かけるようになってきた。本稿ではまずこれらの記憶用語について解説する。臨床的に記憶障害という場合、通常エピソード記憶の選択的障害をさし、健忘症候群とよばれる。健忘症候群の特徴について簡略に解説し、健忘症候群の患者において、さまざまな記憶のうちどれが障害されどれが保たれるのかについて述べる。(著者抄録)
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Fujii, T. (2010). Memory and its disorders. Higher Brain Function Research, 30(1), 19–24. https://doi.org/10.2496/hbfr.30.19
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