我々、公益社団法人全日本鍼灸学会研究部安全性委員会は、同学会が主催する第63回学術大会(愛媛大会)において、鍼灸の安全性の向上、なかでも鍼による有害事象の防止を目的に臓器損傷および神経損傷を対象としたワークショップを開催した。ワークショップでは「安全性向上のための局所解剖Q&A」と題し、1)開業鍼灸師および整形外科医師を対象とした鍼の有害事象に関するアンケート調査と、2)国内の鍼臨床に関連した気胸や神経損傷等に関する文献を紹介すると共に、3)経穴の解剖学的研究を基礎とした刺鍼部の局所解剖(上半身)についてQ&A形式による特別講義を行った。気胸を中心とした臓器損傷や神経損傷など鍼による重篤な有害事象の発生頻度は、国内の鍼臨床全体からみれば極めて低いと推定されるがほぼ毎年報告されていること、また、実際には論文等で報告されているよりも多く発生していることが示唆された。これら有害事象の発生を防ぐためには、人体の構造、特に刺鍼部の解剖学的知識が極めて重要であり、加えて安全な刺鍼技術の修得が必須である。本ワークショップを契機に施術者自身の知識と技術を再確認し、安全で安心な鍼治療を実践していただければ幸いである。(著者抄録)
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SHINBARA, H., FURUSE, N., UEHARA, A., SUGAWARA, M., YAMAZAKI, T., & YAMASHITA, H. (2015). Essential Knowledge of Regional Anatomy for Safe Acupuncture Needling. Zen Nihon Shinkyu Gakkai Zasshi (Journal of the Japan Society of Acupuncture and Moxibustion), 65(2), 64–78. https://doi.org/10.3777/jjsam.65.64
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