Abstract
要旨 水稲生育予測モデル SIMRIW を利用した水稲栽培可能性予測ツールを開発した.このツールは,SIMRIW を全 球に適用して,栽培可能地域,最適移植日,最大収量を地図上に表示する Web アプリケーションである.研究者 向けのモデルであった SIMRIW を,政策決定者や農家向けの意思決定支援ツールとして利用できるようにした. すでに SIMRIW は作物モデル開発フレームワークを利用して,Web アプリケーションとして実装されていた.全 球を対象としたシミュレーションにおいて,条件を変えて大量にモデルの繰り返し実行を行うための,モデル実 行エンジンの改良が行われた.また,モデルの気象データ取得元である MetBroker が全球の 1 度グリッドの気象 データを新たに扱えるようにした.栽培可能性は水稲生育モデルの移植日を 365 日間すべてで計算し,収量を得 られるかで判定される.同時に 8 品種(ジャポニカ米 5 品種,インディカ米 3 品種) ,気候変動に対応した CO 2 濃 度 2 パターンと気温加算値 3 パターンで計算を行った.モデルの計算結果は XML 形式のファイルで記録され, Flash 版や Google Earth 版のデータビューワで閲覧できる. キーワード 水稲栽培可能性,SIMRIW,Web アプリケーション,Google Earth はじめに 気候変動の影響は,世界各国の都市部や山間部など地域 毎に固有な形で現れることが予想される.そのため,各国 が連携して様々な地球観測データや予測データを蓄積し, これらのデータを統融合して人類に有益な情報に変換する ことをめざす Global Earth Observation System of Systems (GEOSS) (GEO2009)の 10 年実施計画が進められている. 日本では第 3 期科学技術基本計画における国家基幹技術の 一 つ と し て,デ ー タ 統 合・解 析 シ ス テ ム(DIAS; Data Integration and Analysis System) (DIAS 2006)が GEOSS の 推進母体として活動している. GEOSS では国際的に共通な 利用ニーズとして 9 項目の公共的利益分野が設定され,そ の 1 項目が農業分野である. 農業分野で期待されるデータ統融合の出口として,農作 物の栽培適地の探索がある.既存の地球観測データを利用 して, 農作物の栽培可能性が予測できるようになれば, 2008 年に世界を揺るがせたような食料高騰による社会不安を未 然に回避できるようになり, 発展途上国の農業を発展させ, 貧困対策としても大いに役立つことが期待できる. 我々は DIAS において, 「安全な農作物生産管理技術とト レーサビリティシステムの開発」を担当している.これは, コアシステムで提供されるデータ群を利用して,農業生産 管理支援情報や,地球温暖化による食料生産への影響等を 長期的にも短期的にも,誰でも簡単に知ることができるシ ステムを構築することが目的である.本論文では,システ ムを構成するアプリケーションの 1 つである,水稲栽培可 能性予測支援ツールについて述べる.これは全球を対象と した,水稲モデルによる栽培可能性を提示するツールであ る. 我々は,すでに農業モデル開発フレームワーク(田中 2006)を利用して,いくつかの作物の生育予測モデルや病 害虫予察モデルを Web アプリケーションとして開発し,
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Tanaka, K., Kiura, T., Sugimura, M., Ninomiya, S., & Mizoguchi, M. (2011). Tool for Predicting the Possibility of Rice Cultivation Using SIMRIW. Agricultural Information Research, 20(1), 1–12. https://doi.org/10.3173/air.20.1
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