Ciliopathy

  • Nakanishi K
  • Yoshikawa N
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Key words : 一次繊毛 多発性嚢胞腎 ネフロン癆 網膜 骨格 中西 浩一・吉川 徳茂 (受付日:平成 24 年 (0 月 ( 日 受付日:平成 24 年 (0 月 2( 日( •総 説• 要 旨 繊毛は細胞表面から突出する小器官であり,気管など に存在する運動性の繊毛と,ほぼすべての細胞に存在す る非運動性の一次繊毛が存在する。一次繊毛の役割は長 らく不明であったが,近年,一次繊毛とその関連構造物 の遺伝子変異により腎嚢胞,肝臓・胆管異常,内臓逆 位,多指症,脳梁低形成,認知障害,網膜色素変性症, 頭蓋・骨格異常,糖尿病など多岐にわたる異常を生じる ことが明らかになった。これら一群の繊毛機能不全疾病 を称して繊毛病 (ciliopathy( と呼ぶ。腎徴候を呈する繊毛 病としては,常染色体優性および劣性多発性嚢胞腎,ネ フロン癆,Joubert syndrome,Bardet-Biedl syndrome, Meckel-Gruber syndrome などがある。繊毛病の多くは 腎嚢胞を合併するため,腎嚢胞は繊毛病の診断上重要で ある。 序 言 近年,常染色体優性多発性嚢胞腎 (ADPKD( や常染色 体劣性多発性嚢胞腎 (ARPKD( を含め遺伝性嚢胞性腎疾 患の原因遺伝子産物の大部分が,一次繊毛 (非運動性繊 毛( とその関連構造物に関与することが示され病態解明に 大きく貢献した。繊毛およびその関連構造物が原因の疾 病を "繊毛病 (ciliopathy( " と呼んでいる (( 。繊毛病の全て が腎嚢胞を合併するわけではないが,繊毛病において腎 嚢胞は診断上重要である。主な腎嚢胞性繊毛病のまとめ を 表 1 に 示 す。 繊 毛 病 の 徴 候 は 一 見 複 雑 で あ る が (表 2( ,その基本徴候を腎・網膜・骨格を中心に整理すると 理解しやすい (図 1( 。一方,最終的に疾患診断にたどり つくためには個々の疾患概念を確実にとらえ,特徴的な 肉眼的嚢胞所見および腎外徴候を把握することが重要であ る。しかしながら,時に診断は困難であり,遺伝子解析 が診断確定に有用な場合もある。本総説では腎病変を示 す主な繊毛病である多発性嚢胞腎 (PKD( とネフロン癆, および遺伝性嚢胞性腎疾患の基本病態につき概説する。 1.繊毛の構造と機能 一般によく知られている繊毛として従来型の運動性繊 毛がある。繊毛は細胞から突出した構造であり,内部に は微小管で構成される細胞骨格が存在する (図 2( 。中心 に一組 2 本の微小管を配し,周囲に 9 組の微小管からな る 「9+2」 と呼ばれる構造をとる。この様式の繊毛は主に 気道上皮,卵管,精子などに見られ,運動機能を有す。 一方,一次繊毛 (主に非運動性繊毛( は軸糸の微小管構造 が 「9+0」 を示し,中心の 2 本の微小管を欠く。この構造 の繊毛は主に感覚機能を担うと考えられているが,一部 運動機能を示すものもある。これらの繊毛には様々な受 容体が発現されており繊毛を介した外部環境の受容が行 われ,細胞機能の調節がなされている。尿細管上皮では 原尿の流れにより繊毛に傾きが起こり (機械的感覚受容, mechanosensation( ,これが細胞増殖の調節に関与する と考えられている。

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Nakanishi, K., & Yoshikawa, N. (2012). Ciliopathy. Nihon Shoni Jinzobyo Gakkai Zasshi, 25(2), 127–131. https://doi.org/10.3165/jjpn.25.127

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