Frameworks and the present state of Palaeolithic studies in Japan

Abstract

明治大学黒曜石研究センター （平成 23 年 4 月 24 日受付，平成 23 年 5 月 14 日受理） 要 約 日本における旧石器時代研究の枠組みには多様な局面がある。しかし，2000 年 11 月 5 日に暴露された前 期・中期旧石器時代遺跡の捏造事件以降，日本列島における最初の確実な人類の居住が関心の焦点となっ てきた。まず日本の旧石器時代研究の現状を規定している歴史的経緯を示し，次にヨーロッパで立てられ た旧石器時代の 2 分法，3 分法にふれ，最後にその日本での展開に言及した。日本列島への最初の人類の 居住時期については様々な説があるので，実際的には「酸素同位体ステージ 3 の考古学」として多様な議 論を保証する必要がある。ただ筆者は，日本列島への人類の確実な居住は ca. 40 ka 以降であるとする立場 から枠組み問題の論点を整理した。後期旧石器時代を遡る石器群の存在の証明のためには，諏訪間（2010） が提起したように，1）石器に残された明確な加工痕，2）偽石器の含まれる可能性のない安定した遺跡立 地，3）層位的な出土，4）石器の複数出土，のすべての条件を満たす必要がある。しかし現在これを満足 させる資料は無い。日本の立川ローム層最下部 X 層の段階を日本列島における最初の居住と位置づけるこ とを骨太の仮説として提出し，この仮説は，追証よりも，今後反証条件を整えることで仮説をテストする ことが有効であることを示した。 キーワード：日本列島，旧石器，枠組み，酸素同位体ステージ 3，仮説の反証 Abstract Frameworks of the Japanese Palaeolithic studies have many aspects. After the disclosure of so-called the "Early and Middle Palaeolithic" archaeological hoax on November 5th 2000, however, timing of the first peopling of the Japanese islands has been formed one of the most striking focuses of interests. This paper first discusses the historical backgrounds of the Japanese Palaeolithic research that has regulated present situation, and second the author reviewed the European criteria on the subdivision of Palaeolithic, as Lower (Early), Middle, Upper (Late), or the Lower, Upper, and finally indicated its application to the Japanese Palaeolithic