目的:2006年調査に続き、さらに大規模な熱中症に関する全国調査を行い、本邦における熱中症の実態につきより詳細に検 討した。方法:日本救急医学会熱中症検討特別委員会(現熱中症に関する委員会)から、全国の救命救急センター、指導医指定施設 、大学病院および市中病院の救急部または救急科(ER)宛てに、2008年用として新規に作成した調査用紙を配布し、2008年6~9月 に各施設に来院し熱中症と診断された患者の、年齢、性別、発症状況、発症日時、主訴、バイタルサイン、日常生活動作、現場 と来院時の重症度、来院時の採血結果、採血結果の最悪化日とその数値、既往歴、外来/入院の別、入院日数、合併症、予後など についての記載を要請し、返送された症例データを分析した。結果:82施設より913例の症例が収集された。平均年齢44.6歳、男 性:女性は670:236、I度:II度:III度は437:203:198、スポーツ:労働:日常生活は236:347:244、外来帰宅:入院は544:332で、高齢 者でとくに日常生活中の発症例に重症が多かった。スポーツ群では、陸上競技、ジョギング、サイクリングに、労働群では農林 作業や土木作業に重症例が多くみられた。日常生活群では、エアコン/扇風機の不使用例、活動制限のある場合に重症例がみられ た。ただ、重症度にかかわらず入院日数は2日間が多く、採血結果についても初日~2日目までに最も悪化する症例が大多数であ った。後遺症は21例(2.3%)にみられ、中枢神経障害が主であった。熱中症を原因とする死亡は15例(1.6%)で、2例を除き4日以内 に死亡した。考察:2006年調査とほぼ同様の傾向であったが、重症例の割合が増加し、活動制限のある日常生活中の老人がその標 的となっていた。最重症例は集中治療によっても死亡は免れず、熱中症では早期発見と早期治療がとくに重要であるということ ができる。
CITATION STYLE
Miyake, Y., Aruga, T., Inoue, K., Okudera, H., Kitahara, T., Shimazaki, S., … Yokota, H. (2010). Characteristics of heatstroke patients in Japan; Heatstroke STUDY2008. Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi, 21(5), 230–244. https://doi.org/10.3893/jjaam.21.230
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.