Abstract
1.はじめに 東日本大震災以後、都市の脆弱性が広く認識されたことは 記憶に新しい。計画停電の中、コージェネレーションシス テム(以下、CGS)が整備されているビルの強靭性が認識さ れると、業務ビルを中心に CGS の需要が高まるなど、電力 の重要性は高く認識された 1) 。また、2018 年の北海道東 部胆振地震では、全道が停電を余儀なくされ、札幌都心部 に電力を求めて 1000 人以上が並ぶ姿も見られ、災害時で の電力確保は、大きな課題になっている 2) 。大規模ビルで は、非常用発電機や CGS の設置が行われているものの、住 宅地でこうした備えがほとんど見られず、災害時の避難所 として公共施設が指定されるのが一般的である 3) 。しか し、仮に首都直下地震が起きた場合、どれだけ多くの人が 一般住宅から公共施設に避難するか、情報や家族との通信 を維持するためにどれだけ電力を求めるのか、明らかでな い 4) 。 ところで、我が国では、地球温暖化を背景に CO2排出量 削減の重要性が高まっている 5) 。特に近年、CO2排出量の 大幅な削減に向けては、住宅の省エネルギー化と再生可能 エネルギーの活用により、年間エネルギー消費量の収支を ゼロにする"ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(以下 ZEH)"の建設が増加してきている 6) 。ZEH は、住宅の低炭 素化のみならず、自立・分散型エネルギーである再エネや 蓄エネ設備の活用により、災害時においてもエネルギーの 安定供給が可能である 7) ため、防災性の観点からも実現が 期待されている。ただし、太陽光発電等により余剰電力が 生じる住宅も存在するものの、系統電力への逆潮流が過多 となる懸念から、売電には限界があり、余剰電力の有効利 用が求められている 8) 。 これまでのところ、 住宅地の安全性、 防災性については、 密集市街地における「防災空間」としての空き家の活用可 能性を論じたもの 9) や、住民の防災力の向上に向けた防災 計画を評価したもの 10) がある。 また、 環境性の観点から ZEH を取り扱った研究は、個別の新築住宅における省エネ・創 エネ機器の導入を検討した研究 11) や、建設地の気象条件や エネルギー価格の上昇率等の諸条件を考慮し、経済性への 影響を明らかにした研究 12) がある。しかし、避難行動に影 響する建物の倒壊や火災等の危険性を除く、災害時にエネ ルギー供給が可能な住宅地区という観点から住宅市街地整 備のあり方を、環境性能の高い ZEH の活用という観点から 論じた研究はみられない。 そこで本研究は、環境性・防災性の両方の観点から、持 続可能な都市の実現に向けた ZEH を中心とした街区(以下 ZEH 街区)整備のあり方を明らかにすることを目的とする。 具体的には、街区単位で建物特性に応じた環境施策を導入 し、環境性・防災性の観点から有効性を評価することで、 住宅地区における ZEH 街区形成のあり方を明らかにするも のである。なお、本研究は、近年、新築住宅における ZEH 戸数が増加していることから、 建替え時に ZEH に全て建 て替わる仮定の上に、低炭素型開発がもたらす影響を、 電力融通のみに着目し検討する。また、ZEH の増加によ り、 低炭素で災害時においても一定程度の生活レベルの 維持が可能かを検討する。本研究の対象地は低炭素まち づくりを掲げ、住宅の省エネ化や再エネ等の導入・拡大に 積極的な東京都大田区 13) とする。 本研究の構成は以下の通りである。まず、国や東京都、 大田区における住宅の低炭素化に向けた計画や課題から ZEH の必要性、実現方法を明らかにする。次に、大田区内 の街区の建物特性から ZEH 街区の実現可能性を検証する対 象街区の選定を行う。最後に、ZEH 街区の有効性を環境 Recently, under the prevention of global warming, the low carbon development, such as net Zero Energy House (ZEH) is required because of significant reduction of CO2.ZEH can supply energy under at the urban disaster, such as blackout, because it normally has renewable energy systems. However, the house with surplus power generation, there is a limit to sell excess electricity because of the electric power system limitation. Therefore, although there is a demand for electric power interchanging of surplus power on a block basis, the specific way is not clear. This paper deal with clarify the ideal way of ZEH block development for sustainable city construction in Ota-ward, from the viewpoint of environmental and disaster prevention. As a result, it is cleared that development of the ZEH block is useful to the drastic reduction of CO2 and the keeping daily life at the time of disaster.
Cite
CITATION STYLE
Kimura, K., & Muraki, M. (2019). A Study on the ZEH Block Development towards Sustainable City Construction. Journal of the City Planning Institute of Japan, 54(3), 493–499. https://doi.org/10.11361/journalcpij.54.493
Register to see more suggestions
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.