放牧された牧草地にFACEによってCO2付加を行った。CO2濃度は475ppm(2030年頃を 想定)とし、その変化を調べた。牧草の生産量や栄養組成に変化は認められなかっ た。しかし、食料の生産方法が、高CO2とコントロールとで異なった。組織ごとの 化学成分組成の違いは、植物群落の構成の変化によって埋め合わせられた(例えば 、高CO2によってC3植物の窒素量が11%低下したとしても、牧草全体のN量は窒素固 定を行なうクローバーの存在量が増加することで埋め合わせられた。この植物群落 構造の変化は高CO2環境下での分解速度の増加をもたらした(10%増加)。高CO2環 境下でのCO2の固定は、土壌水分の少ないところで特に増加した。固定したCO2は根 にまわされ、根からの滲出量や根のターンオーバー速度の増加をもたらした。また 、根の食植者の増加が認められた。おそらくこの変化によるものだろう。高CO2に よって、成長に必要とする窒素やリンの量が少なくなった。また、FACEに生育する 植物を食べた動物の栄養吸収速度は、群落全体の栄養量が変化していないのにも関 わらず増加した。根の成長、土壌水分、植物種組成に関して、「CO2]と「処理( cuttingとgrazing)」の間に相互作用が認められた。また、動物が食べた飼料の栄 養循環にも、高CO2処理とコントロールとで変化が認められた。すなわち、高CO2処 理による食害実験を行う際に、手でcuttingしたものを使うのは危険だということ が認められた。
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Newton, P. C. D., Allard, V., Carran, R. A., & Lieffering, M. (2006). Impacts of Elevated CO2 on a Grassland Grazed by Sheep: the New Zealand FACE Experiment. In Managed Ecosystems and CO2 (pp. 157–171). Springer-Verlag. https://doi.org/10.1007/3-540-31237-4_9
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