Rice breeding programs of private companies in Japan and future challenges

  • Kashihara M
  • Kubo T
  • Komura T
  • et al.
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キーワード イネ,育種,民間企業 1.はじめに 日本におけるイネの品種開発は,1893 年に農事試験場 が設立されて以降,主として国,都道府県によって進め られてきた.在来品種の品種比較試験に始まり,純系淘 汰育種を経て, 交雑育種が盛んに行われるようになった. その結果,数多くの優良品種が作出され,栽培技術の改 善と相まって,イネの収量は著しく向上し,1960 年代の 後半にはコメの自給を達成することができた.育種,栽 培の両面からの研究開発が日本の稲作の発展に大きな貢 献を果たしてきたことは疑う余地がない.主食であるコ メが不足していた状況下においては,コメの安定供給は 国家的な最重要課題の一つであり,国,都道府県の研究 機関が多収品種や多収技術の開発を担うことについて, 広く国民的な支持が得られてきたと考えられる. しかし, 自給を達成した 1970 年以降は, イネの生産調整が実施さ れ,米価が政策的に高く維持されるとともに,多収から 品質・食味を重視した育種目標への変更を余儀なくされ た.その後は,食味評価の高いコシヒカリやその類似品 種のみが作付面積を延ばす結果となり,残念ながら新品 種が作付面積のトップを占めたことはない. 1980 年代に入ると,植物バイオテクノロジーの急速な 進展を背景に,民間企業によるイネ育種への参入が続く とともに,主要農作物種子法が改正されるに至った.コ メの過剰基調が続く中であっても,民間企業が大きな活 力をもたらすとの期待が生まれた.実際には,作付面積 のほとんどが,国や都道府県によって育成された品種に よって占められる状況は変わることがなく,実質的な規 制緩和も進まず,今日に到るまで著者らが当初思い描い たように民間企業の育種事業が軌道に乗っているとは言 い難い状況にある.1990 年代の後半以降,育種事業から 撤退する企業が現れ始め, 現在では, 極一部の企業によっ て継続されているにすぎない. 本報告では, これまでの民間企業のイネ育種について, その参入動機,実際の育種,事業化の経緯について振り 返り, その取組と果たした役割を明らかにするとともに, 将来に向けて我が国の稲作の発展を願い今後のイネ育種 における民間企業のあり方を議論したい. 2.1970年代までのイネ育種 日本は有史以来コメを主食としてきたが,最近まで, コメの生産量は需要に追い付くことができず,常にコメ は不足していた.ようやく自給を達成することができた のは 1960 年代後半のことである.我が国のイネ収量は, 1880 年代の 200 kg/10 a から, 1980 年代の 500 kg/10 a へと飛 躍的に増収しており(丸山 1988) ,育苗,施肥,病害虫 防除等の栽培技術の貢献とともに多収品種の育成と普及 が大きな役割を果たした. 特に, 後者は長年にわたって国, 都道府県を中心とする公的機関によって組織的に実施さ れた交雑育種の成果によるものと言ってよい.代表的な 品種をあげれば,1930 年代および 40 年代に広く普及し た「陸羽 132 号」 , 「農林 1 号」 , 「農林 6 号」 , 「農林 8 号」 に始まり,50 年代の「農林 18 号」 , 「農林 22 号」 , 「農林 29 号」 , 「千本旭」 ,60 年代の「金南風」 , 「ホウネンワセ」 , 「フジミノリ」 , 「ホウヨク」 , 「レイメイ」 ,70 年代の「日 本晴」 , 「トヨニシキ」 , 「レイホウ」 , 「トドロキワセ」へ と受け継がれている.中でも, 「日本晴」は,北は福島県 から南は宮崎県まで,31 都府県で奨励され,1976 年には 最大普及面積 359,014 ha を記録した.これは陸羽 132 号 の持つ 231,

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Kashihara, M., Kubo, T., Komura, T., & Komari, T. (2013). Rice breeding programs of private companies in Japan and future challenges. Breeding Research, 15(4), 173–183. https://doi.org/10.1270/jsbbr.15.173

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