カテコラミン感受性多形性心室頻拍(catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia:CPVT)は、交感神経活性を高める精神的ならびに肉体的なストレスによってVTを発症する遺伝性不整脈症候群の一種であり、現在までにいくつかの原因遺伝子が明らかとなっている。これらの遺伝子の変異は、筋小胞体に存在するリアノジンレセプターからの異常なCa2+の放出により、CPVTをきたすことが共通している。臨床像としては、器質的に心臓は正常であり、運動や感情の高まりによって誘発される心室不整脈による動悸や失神、心肺停止が特徴である。心房細動や心室不整脈が高頻度で見られるものの、一拍ごとにQRS波の軸が180°変化する二方向性VTが特徴的であり、診断に有用である。交感神経活性によって誘発されるVTは心室細動へ移行することがあり、心停止が初発症状である症例もしばしば見受けられる。安静時心電図は正常であり、診断に際しては画像診断による器質的心疾患の除外と、運動やストレスによって出現する不整脈が重要である。治療には、β遮断薬やフレカイニドが用いられる。植込み型除細動器は、心停止歴のある症例やβ遮断薬が不整脈の抑制に不十分な症例で適応となるが、突然死の予防効果は不完全である。(著者抄録)
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Watanabe, H., & Minamino, T. (2015). Characteristics and Therapy of Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia. Japanese Journal of Electrocardiology, 35(2), 86–94. https://doi.org/10.5105/jse.35.86
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