Synopsis: The fundamentals of thermoacoustics constitute understanding thermoacoustic phenomena, the proposal of new thermoacoustic devices, and the development of new experimental techniques. This paper describes a practical guide to measurements of important physical quantities in thermoacoustic systems to help beginners understand the basic techniques. The direct method, involving measurements of pressure and velocity oscillations, and the two-sensor method are introduced for the measurement of work flow. A method for the dynamic calibration of a thermocouple is also presented to make measurements of temperature fluctuation possible. Particular emphasis is given accurately determining the phasing between oscillatory quantities. 1. はじめに 熱音響現象では,管内音波の圧力,流速,エントロピー が互いに一定の位相差を持って振動する結果,管軸方向に 流れるエネルギー流として,仕事流 I と熱流 Q=T m S が生 じる 1-3) .ここで S はエントロピー流であり,T m は平均温 度である.I, Q, S は熱音響現象を理解するために中心的な 役割を果たす物理概念である.熱音響自励振動を利用した 音波エンジンに対する仕事流の計測から,温度勾配のある 蓄熱器が音源であること,単位体積あたりのエネルギー変 換の大きさである仕事源 w=divI,音波エンジンの分類 (定在波成分がエネルギー変換にとって中心的な役割を果 たす定在波型音波エンジンか,進行波成分が主となる進行 波型音波エンジンか)が示された 4-7) .管内音波を使って 低温生成を行う音波クーラーには現在のパルス管冷凍機を 超えるポテンシャルがある 8) .その理由は装置内を流れる 仕事流の向きにある.仕事流計測は熱音響現象の実験的理 解を深めたり,新しい熱音響デバイスを開発したりするた めの必須のツールとなってきた. この論文では,現在報告されている 2 種類の仕事流計測 方法を紹介する.一つは圧力と流速を同時に計測して仕事 流を直接的に求める方法であり,矢崎らにより初めて報告 された 4) .もう一つは隣接した 2 点の圧力計測のみから間 接的に求める Two sensor 法と呼ばれる方法である 9,10) . Two sensor 法は実験が直接法に比べて簡単という利点があ り,またその妥当性も実験的に確認されているので,マス ターする価値がある.どちらの方法でも,計測の時刻ずれ に注意を払う必要がある.この点についても述べた. 現在もまだ実行されていない Q, S の計測は熱音響現象 を実験的により良く理解するための課題として残されてい る.最近になって,この実現に不可欠な流体の温度振動の 計測方法が報告された 11) .熱電対を使って簡易に温度振 動計測を可能にするこの方法においてキーとなる熱電対の 校正方法についても,この論文で合わせて紹介する. 2. 管内音波 用語,記号の整理のために,管内音波についてまとめて おく.詳細はテキスト 1) を参照して頂きたい.半径 r 0 の円 管を考え,管の中心軸を x 軸,x 軸からの距離を r とする 円筒座標を用いる.圧力 P,流速 U,温度 T,エントロ ピーS はそれぞれの時間的平均値を中心として角振動数ω で振動する.圧力の時間的平均値 P m は x にも r にも依存 しないとし,温度の時間的平均値 T m は r によらず x のみ の関数とする.また流速の時間的平均値は 0 とする.流路 半径 r 0 は音波の波長に比べて十分に長いとすると,圧力 は x 軸に垂直な面内で一様であるとしてよい.すなわち P(x,t) = P m + P 1 (x,t) (1) とおく.流速 U と温度 T,エントロピーS も同様にして U (x,r,t) = U 1 (x,r,t) (2) T (x,r,t) = T m (x) + T 1 (x,r,t) (3)
CITATION STYLE
BIWA, T. (2008). Beginner’s Guide to Measurement Techniques in Thermoacoustic Systems. TEION KOGAKU (Journal of the Cryogenic Society of Japan), 43(12), 517–526. https://doi.org/10.2221/jcsj.43.517
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