(2014 年 3 月 12 日 受付・2014 年 12 月 22 日 受理) 要 旨 わが国におけるクロルヘキシジングルコン酸塩によるアナフィラキシー発生について文献調査を 行い,1974 年以降 84 例の報告を検出し,その症例について集計・検討を行った. このうち使用部位及び使用濃度が明らかな 77 症例において,現在のわが国で承認されている適 応範囲外の使用方法による発生が 57 例(74.0)であり,適応範囲内の症例は 10 例にとどまっ た.また,発生症例の男女比は 2.21 (男性 55 例,女性 25 例)で男性が多く,発生年齢層では小 児及び高齢者よりも成年層が多かった(15 歳未満が 7 例,16~64 歳が 62 例,65 歳以上が 11 例). 今回の集計・検討により,クロルヘキシジングルコン酸塩の使用にあたっては,使用部位,使用 濃度の適応を遵守することが,アナフィラキシー発生の頻度を低下させるために重要な因子である ことが示唆された. Key wordsクロルヘキシジン,アナフィラキシー,ショック は じ め に クロルヘキシジングルコン酸塩は 1954 年に Davies らにより研究合成され,広範囲の微生物に対する抗菌作 用と,器械・器具および環境への適応だけでなく生体に 対しての使用が可能なことから,世界中の医療現場にお いて広く使用されている消毒薬である 1) . 近年,クロルヘキシジングルコン酸塩による皮膚消毒 効果について,海外を中心に多くの有効性の報告や各種 ガイドラインでの推奨が行われており,わが国において もその適応拡大が望まれている.しかしながら,海外と わが国におけるクロルヘキシジングルコン酸塩の承認適 応が異なることもあり,その導入については様々な論議 が行われている.今回,その安全性についての検討要因 となっているアナフィラキシー反応について,国内の発 現症例をこれまでの文献報告から集計し考察を行った. 方 法 クロルヘキシジン製剤が原因と推定される国内のアナ フィラキシー症例について,文献調査を行い,該当文献 66 報 2~67) について,年齢,性別,手技,使用部位,使 用濃度,初期症状発現までの時間,主症状について情報 の集計を行った.データベースとしては,医中誌,医薬 品情報データベース(iyakuSearch)にて検索を行い,さ らに該当各文献の参考文献を調査した.また,2000 年 以降については独立行政法人医薬品医療機器総合機構 (Pharmaceutical and Medical Devices Agency以下 PMDA)の公開情報 68) を追加した.複数の文献で報告さ れている症例については,報告者または報告施設,患者 背景(年齢,性別など),施行手技などの記載事項から照
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OSAKABE, A., & OKUBO, T. (2015). Survey of the Japanese Literature on Anaphylactic Shock Caused by Chlorhexidine Gluconate. Japanese Journal of Infection Prevention and Control, 30(2), 127–134. https://doi.org/10.4058/jsei.30.127
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