要 約 横浜市高密度強震計ネットワークで観測された地震記録と地盤データを用いて、最大加速 度、最大速度、計測震度および応答スペクトルに対する増幅度と地盤の平均S波速度との 関係を検討した。最大加速度、最大速度および計測震度に対する増幅度と平均S波速度と の関係については、Mが小さな地震の記録とMがより大きな地震の記録による結果は異な り、これはMの大小で卓越する周期成分が異なるためと考えられる。Mの比較的大きな地 震の記録から、 最大加速度、 最大速度および計測震度に対する増幅度はそれぞれ深さ10m、 30mおよび20~30mまでの平均S波速度とよい対応がみられる。応答スペクトルに対する増 幅度は、周期0.6秒程度までは深さ10mまでの平均S波速度、周期0.6秒~0.8秒程度では深さ 20mまでの平均S波速度、周期0.8秒程度以上では深さ30mまでの平均S波速度とよい対応が がみられ、周期0.3秒程度までの短周期に比べてより長い周期で地盤の増幅度が地盤の平均 S波速度の相関が高い傾向にある。 キーワード: 地盤増幅度、平均S波速度、最大加速度、最大速度、計測震度、 応答スペクトル 1. はじめに 地震動の強さは、地盤の増幅特性の影響により場所毎に大きく変化することが知られている。地盤の 増幅特性を把握するには S 波速度構造データを用いて解析的に計算できるが、広域での評価を行うには 既存データの収集・整理や新たな地盤調査などに膨大な作業が必要となる。そのため、比較的簡便に得 られる地盤種別等の定性的な指標を用いて、表層地盤の増幅特性が評価されてきた。近年では、より定 量的な指標として、表層地盤の平均 S 波速度を用いて地盤の増幅特性を概略的に評価することが行われ ている。 地盤の平均S波速度と地盤増幅度の関係については、米国で 1970 年代に Borcherdt et al.(1978) 1) により 検討がなされ、 1989 年ロマプリエタ地震の強震記録に基づいて、 より定量的な関係が提案されている 2) 。 わが国でも、翠川・他(1992) 3) が 1987 年千葉県東方沖地震の強震記録に基づいて、地盤増幅度と平均 S 日本地震工学会論文集 第 8 巻、第 3 号、2008
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MIDORIKAWA, S., KOMAZAWA, M., & MIURA, H. (2008). Relationships between Average Shear-Wave Velocity and Site Amplification Factors Obtained by Records from Yokohama Dense Strong-Motion Network. Journal of JAEE, 8(3), 19–30. https://doi.org/10.5610/jaee.8.3_19
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