セミは,日本人にとってなじみ深い昆虫である.セ ミは子供たちのよき遊び相手であり,その鳴き声は, 季節の移ろいを感じさせてくれる.筆者が勤務する SPring-8 は山の中にあり,周囲には多くの種類のセミ が生息する.まず 5 月の連休頃からハルゼミが鳴き始 め,梅雨時は山が鳴るといわれるヒメハルゼミの大合 唱,ニイニイゼミの甲高い声に梅雨明けを感じ,夏の 盛りはヒグラシ,アブラゼミ,クマゼミ,ミンミンゼ ミと多彩,そしてツクツクホウシのリズミカルな声を 聞けば夏もそろそろ終わりである. さて,本稿では,あの虫体からよくもあんな声が, と思うほどの音量を発生する仕組みと,それをつかさ どる筋肉について解説する.発声を起こす筋肉は tymbal muscle というが,これは筆者がこれまで研究し てきた飛翔筋との関連において極めて興味深いもので ある.
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IWAMOTO, H. (2018). Song-producing Machinery of Cicadas. Seibutsu Butsuri, 58(5), 245–247. https://doi.org/10.2142/biophys.58.245
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