背景: 最近の研究では,血栓溶解治療が下肢急性虚血に対する初期治療として有効であることを示している.この治療の最大のメリットは侵襲の少ないことである. 方法: この多施設,盲検試験では113施設が参加し,外科治療とCDTの比較を行った.対象症例は発症14日以内の下肢急性動脈閉塞で,1群あたり272例であった.CDTでは最大48時間までの(平均24.4±0.86 hr)投与とし,その後必要に応じてバイパスやPTAを追加した.primary endpointは6ヶ月後の救肢生存率である. 結果: CDT群の最終造影は246例で施行され,196例(79.7%)で再開通が,また167例(67.9%)で完全溶解を認めた.両群間で術後のABI改善はほぼ同様であった.救肢生存率はCDT群で6ヶ月71.8%,1年65.0%,外科治療群で6ヶ月74.8%,1年69.9%であった.6ヶ月の時点で外科治療群では551回の手術が,CDT群では315回の手術が行われた.大出血はCDT群で32例(12.5%),外科治療群で14例(5.5%)であった.脳内出血はCDT群で4例ありうち1例は死亡した.外科治療群で同様の合併症はなかった. 結論: CDTでは出血合併症が多いにも関わらず外科治療の必要性が少なかった.肢切断率や死亡率が増加することもなかった.
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Ouriel, K., Veith, F. J., & Sasahara, A. A. (1998). A Comparison of Recombinant Urokinase with Vascular Surgery as Initial Treatment for Acute Arterial Occlusion of the Legs. New England Journal of Medicine, 338(16), 1105–1111. https://doi.org/10.1056/nejm199804163381603
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