本総説の目的は,重症熱傷患者に対して適切な蘇生輸液を行うために,熱傷蘇生輸液の公式が作られた 背景および科学的根拠を示し,今後我々が向かうべき方向性を明らかにすることである。広範囲熱傷受傷後の ショックに対する蘇生(resuscitation)は治療医の習熟度にかかわらず困難なものである。熱傷による特異的な 体液変動と浮腫形成,それに伴う血管内容量の喪失により,蘇生は複雑になる。現在広く使われている蘇生輸 液の公式は Parkland(Baxter)の公式である。しかし腹部コンパートメント症候群などの輸液に関わる合併症が 報告され,2000 年には Pruitt が fluid creep という概念を提唱した。そして 2010 年,American Burn Association は ガイドラインの中で推奨蘇生輸液量を減量した。そのため我が国においても混乱が生じているのが現状である。 熱傷ショックに対する適切な蘇生輸液とは「ショックの離脱を果たす最低限の輸液量である」と言っても過言 ではないだろう。
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(Akinori Osuka), 大須賀 章倫, (Yuichi Kuroki), 黒木 雄一, (Daiki Miyao), 宮尾 大樹, (Yuji Matsuura), 松浦 裕司, (Shinya Onishi), 大西 伸也, (Kazuhiro Yoneda), 米田 和弘, & (Masashi Ueyama), 上山 昌史. (2015). 熱傷蘇生輸液(Burn fluid resuscitation). Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine, 26(11), 647–656. https://doi.org/10.1002/jja2.12065
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