せん妄とは,脳機能不全に基づく軽度から中等度の 意識混濁,認知の変化を呈する症候群である.基本的 特徴に意識の障害が挙げられ,記憶障害や失見当識と いった認知の変化を伴い,短期間に進行し,1日のう ちでも変動する特徴がある 1) .せん妄は,精神運動活 動と覚醒レベルにより,過活動型せん妄(hyperactive delirium) ,低活動型せん妄(hypoactive delirium) ,混合 型せん妄に分類され 2) ,大脳皮質および脳幹網様体賦 活化系を責任領域とする,神経伝達物質であるコリン 作動性の低下やドーパミンの過剰放出により,せん妄 が誘発されると考えられている 3) .重症患者における せん妄発症のメカニズムにおいては,炎症性サイトカ インの放出に関連した血管内皮障害に伴い,微小血栓 形成による脳血流低下から急性脳機能不全を引き起こ し,神経刺激伝達の阻害によりせん妄が発症すると考 えられている 4) .内科系 ICU へ入室した患者において は 83.3%にせん妄の発症が認められ 5) ,65 歳以上,な らびに,重症患者においては,低活動型せん妄が多く 発症していると報告されている 6) .また,外科および 外傷 ICU へ入室し,24 時間以上人工呼吸器を装着し た患者においても,低活動型せん妄が多く発症してい ることが明らかにされている 7) . 重症患者におけるせん妄の発症は,在院日数の長期 受付日:2013 年7月
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Obata, Y., & Nakamura, M. (2016). Nursing Practice for Detection of Early Stage of Hypoactive Delirium in Critically Ill Patients. Journal of Japan Academy of Critical Care Nursing, 12(1), 61–72. https://doi.org/10.11153/jaccn.12.1_61
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