54歳女性。左大腿ヘルニアが、整復不可能となり、外科で1ヵ月後に左大腿ヘルニア根治術を受けたが、イレウスのため入退院を2度繰り返した。小腸壁の浮腫はあるが、諸検査で器質的な閉塞機転を認めなかった。しかし腹痛が持続するため、当科に転科した。腹痛のために食事が摂れず47kgから37.5kgまで減少したので中心静脈栄養管理を行った。陣痛のような激しい腹痛により額に冷汗を認め、倦怠感のため臥床がちであった。皮膚は枯燥し、脈候は浮、大、弱、しょくであった。腹候は腹力弱で、下腹部優位の腹直筋緊張を認め、腹壁から腸の蠕動が観察された。附子粳米湯で治療を開始したが無効で、腸管の蠕動が腹壁から見えることから大建中湯、皮膚枯燥と腹直筋の緊張を認めることから当帰建中湯の証があると考え、中建中湯加当帰に転方したところ、転方5日目から腹痛は消失した。大腿ヘルニア術後の偽性腸閉塞症に漢方治療が有効で試験開腹を免れた。(著者抄録)
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YANO, H., TAHARA, E., TANAKA, Y., MURAKAMI, J., MAEDA, H., ITO, Y., … MITSUMA, T. (2015). A Successful Case of Pseudo-Obstruction After Femoral Hernia Radical Operation Treated with Chukenchutokatoki. Kampo Medicine, 66(2), 99–106. https://doi.org/10.3937/kampomed.66.99
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