In general, the evaluation of the degree of abnormal voice quality has a crucial role in the clinical assessment of voice-disordered patients. As the gold standard for the assessment of voice quality, auditory-perceptual methods have been utilized worldwide. However, the subjective nature of these methods can strongly influence the reliability and accuracy of the evaluation. Due to such limitations, acoustic measurements have been developed to increase the objectivity in the evaluation of voices. In this article, we first review the traditional acoustic measures to improve our understanding of the principles of acoustic analyses. Subsequently, for clinical practice, we introduce several available instruments, such as analysis software programs and microphones, that are suitable for acoustic analyses. Lastly, we describe the differences between two software programs and two microphones, and discuss their respective utility. Key words:auditory-perceptual judgement, acoustic analysis, microphone, Multi-Dimensional Voice Program, Praat は じ め に 音声障害患者の病状評価において,患者の音声の質の良 悪は最も重要視される評価の一つと言える.音声の質の良 悪について認識するのは人間の感覚である以上 1 ) ,音声の 質の評価法のゴールドスタンダードが GRBAS 尺度 2-4 ) に 代表される聴覚心理的評価であるということに異論は無 い.しかしながら,聴覚心理的評価の評価値は評価者の感 覚に依存することから,科学において最も重要視される客 観性を確保することに限界があることも確かである.そこ で,人間の声の波形,すなわち音声波形の形状の解析によ り音声の性質を客観的な指標として評価するため,様々な 音響分析的手法が開発されてきた 5-12 ) . 本稿ではまず,ゴールドスタンダードである聴覚心理的 評価について概説した後に,客観的指標である音響分析の 理解に必要な背景,すなわち音声波形の性質について確認 し,音響分析パラメータが示す事象について解説する.そ の後,音響分析を実際に施行するために必要なマイクロ フォンなどの機材や録音環境および分析ソフトウェアにつ いて紹介し,最後にマイクロフォンと分析ソフトウェアの 相違による音響分析パラメータの実値および診断精度の相 違について提示する. 聴覚心理的評価 聴覚心理的評価とは,患者の音声を評価者が聴取しその 性質について何らかの判断を与える評価法である 4 ) .当評 価法の確立において一色ら 2 , 3 ) は,音声の質の聴覚心理的 評価における主観的および非普遍的な性質を極力排除する ために,意味微分法による因子分析を用いて嗄声の質を 4 つの因子に分類した.そして,それをもとに GRBAS 尺度 が作成され 4 ) ,現在全世界的に使用されている 13, 14 ) . GRBAS 尺度は,患者の音声の性質について,各性質 (Grade:嗄声度 , Roughness:粗糙性 , Breathiness:気息 性 , Asthenicity:無力性 , Strain:努力性)を 0(正常)から 3(重度)までの 4 段階で評価する方法であり 4 ) ,評価にお いて一定の信頼性が認められている 14 ) .しかしながら, GRBAS 尺度においても,異なる評価者が評価した場合の みならず,同一の評価者が複数回評価した場合にも評価値 が一致しないことが稀ではない 15, 16 ) .聴覚心理的評価の 信頼性には評価者の経験年数や専門性など様々な要因が影 響すると報告されるが 17-19 ) ,実際に信頼性の高い評価を 行うためには,一定の基準に沿った評価を可能とするため の訓練を行う必要がある 20-22 ) .訓練には市販されている DVD ソフト「動画で見る音声障害」や,同梱の CD「嗄声 1 )大阪警察病院耳鼻咽喉科 2 )大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科 ・ 頭頸部外科学教室
CITATION STYLE
Hosokawa, K., Iwahashi, T., Ogawa, M., Kato, C., & Inohara, H. (2016). The Principles and Practice of Acoustic Analyses. Koutou (THE LARYNX JAPAN), 28(2), 78–87. https://doi.org/10.5426/larynx.28.78
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.