アルカリホスファターゼ(ALP)はリン酸モノエステルを加水分解する酵素であり,小腸に局在する 小腸型 ALP は食事性因子との関わりが大きいが,その生理機能は未だ不明な点が多い。本研究では,ヒト 結腸癌由来細胞で,培養後に小腸上皮様細胞に分化する Caco-2 細胞を用いて,ビタミンDが ALP 発現およ び腸の分化マーカーである加水分解酵素の発現に及ぼす影響について検討を行った。コンフルエント後 14 日間培養し,Caco-2 細胞にビタミンDを添加した結果,添加後 3,5,7 日目において 1,25-ジヒドロキシビ タミンD3 濃度 100 nMの ALP 活性およびヒト小腸型 ALP 遺伝子のmRNA発現量が 0 nMと比べて有意に 高値を示した。一方,スクラーゼ・イソマルターゼの遺伝子発現はビタミンDにより増強されなかった。 本研究において,ヒト小腸上皮様細胞でのビタミンDによる小腸型 ALP 発現の増強作用を示すことができ, 小腸型 ALP 発現調節を介したビタミンDの新たな生理機能の解明につながることが期待された。
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Noda, S., Yamada, A., Nakaoka, K., & Goseki-Sone, M. (2018). Enhancement of Intestinal Alkaline Phosphatase Expression by 1,25(OH) 2 D 3 in the Human Intestinal Epithelial-like Cell Line Caco-2. Nippon Eiyo Shokuryo Gakkaishi, 71(1), 21–29. https://doi.org/10.4327/jsnfs.71.21
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