高齢者では身体機能や生活機能が低下しがちであり,栄養の維持改善が重要である。しかし,高齢者での栄養改善効果は,病院での重度な栄養不良患者を対象とした研究が多く,地域での高齢者で栄養改善が有効かどうかの研究は少ない。そこで,自立高齢者を対象とした介護予防プログラム(食・運動習慣改善支援)において,牛乳摂取による栄養と身体機能への効果を検討した。対象は出雲市在住で3ヵ月間の介護予防プログラムに参加した高齢者45名(平均年齢73.7±5.7歳)で,牛乳介入群22名と対照群23名の2群に分けた。牛乳介入群には,宅配により牛乳を提供し,介入前後に栄養摂取量,運動機能,体格,血液生化学等の調査を行なった。牛乳介入群では,牛乳・乳製品の摂取量が有意に増加し,栄養指数であるBMI,HDL-コレステロール,ヘモグロビンの改善が認められた。一方,対照群では栄養指数の改善は認められなかった。介入による変化量では,牛乳介入群のBMI,アルブミン,HDL-コレステロール,ヘモグロビン,HbA1c,必須アミノ酸/非必須アミノ酸比が対照群に比較して有意に改善した。運動機能では,介入前に対照群の運動機能が不良であり,運動教室の影響が強く現れたために,対照群が介入群よりも運動機能の改善が顕著であった。以上より,良好な栄養状態の高齢者でも牛乳摂取が栄養状態を改善させることが明らかになった。(著者抄録)
CITATION STYLE
MANIWA, R., IWAMOTO, M., YAMASAKI, M., & SHIWAKU, K. (2012). Intervention by Milk Ingestion and Physical Activities for the Frail Elderly in Community. JOURNAL OF THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE, 61(2), 77–87. https://doi.org/10.2185/jjrm.61.77
Mendeley helps you to discover research relevant for your work.