環境充実のための学術情報基盤の整備について検討 する中で,同 8 月に連携の可能性が浮上した。同10 月にはお茶の水女子大学と横浜国立大学の間でも連 携にむけた意見交換があった。 これらの過程で,電子ジャーナル共同購入は既存 の取組があることから, 紙媒体雑誌のバックナン バーを対象とした, 効率的な共同分散保存(シェ アード・プリント)やアクティブ・ラーニング推進 等の課題に取り組む方向に軌道修正し,平成26年 3 月25日, 三大学の学長が申し合わせを締結するに 至った。 1.2 申し合わせの締結 上記のような経緯を経て,三大学の学長名によっ てサインされたこの申し合わせの概要は以下のとお りである。 1 )目的について,各大学の附属図書館の教育・研 究支援機能の充実及び高度化に向け,単独大学では 不可能な課題解決手法の開発・実施に取り組むこと を明記した。 2 )体制について,三大学の附属図書館で構成する 検討組織を設置し,この取り組みを進めるものとし た。 1.三大学連携の概要 千葉大学・お茶の水女子大学・横浜国立大学は平 成26年 3 月に図書館間連携に関する申し合わせを結 び,各大学附属図書館の教育・研究支援機能の充実 及び高度化に向け,単独大学では不可能な課題解決 手法の開発・実施に取り組んできた。 背景には,図書館が扱うべき資料が紙の本から電 子的な資料へと大きくシフトしていき,加えて,大 学の中において様々な新しい教育・研究支援の機能 が求められるようになったという時代認識がある。 その中で変化に如何に対応し,如何にシフトするこ とができるのか,図書館が果たすべき役割の考察を 試み,具体的な実践においては,それらを単独大学 ではなく連携によって課題解決しようという取り組 みであった。 本稿では,三大学連携の概要を示し,この 5 年間 の活動の成果と課題をまとめる。 1.1 成立の経緯 三大学連携の発端は,平成25年 7 月,横浜国立大 学の学長と千葉大学の学長が,電子ジャーナル共同 購入について意見交換したことに始まる。一方,お 茶の水女子大学の学長と千葉大学の図書館長が学修 抄録:千葉大学,お茶の水女子大学,横浜国立大学は平成26年に図書館間連携に関する申し合わせを結び,単 独大学では不可能な課題解決手法の開発・実施に取り組んできた。 5 年間という当初に設定した期間を経過 し,三大学が当面の検討事項として掲げた 6 つの課題について,これまでの活動を総括し,成果と課題をまと める。特に三大学連携の発端となったシェアード・プリントについては,電子ジャーナルのバックファイルが あるものについて実験を行い,利用の実態を明らかにし,本格的な実現に向けた課題点を整理した。 キーワード: 三大学連携, 千葉大学, お茶の水女子大学, 横浜国立大学, シェアード・ プリント(Shared Print) ,PDA(Patron-Driven Acquisitions)
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Takahashi, N., Shouji, M., Yamamoto, J. ’ichi, Etori, N., Toyoda, H., & Tateishi, A. (2019). 千葉大学・お茶の水女子大学・横浜国立大学 三大学図書館間連携の 5 か年. 大学図書館研究, 112, 2035.
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