バリウムによる検診胃透視後5時間で発症した急性虫垂炎の1例を経験した.症例は75歳,男性.検診胃透視終了5時間後より左側腹部痛と嘔気を自覚し当科受診.臍左下部中心に下腹部全体の軽度圧痛を認め,腹部X線写真にて結腸全域にわたる多数の憩室と共に虫垂全長がバリウムで満たされていた.S状結腸憩室炎の診断で即日入院の上保存的治療を開始したところ,徐々に症状・所見の改善を認めた.しかし,30時間後から腹痛が再度増強し,48時間後には腹膜刺激症状を呈するに至り,この時の腹部X線写真にて虫垂からのバリウム漏出および虫垂壁の不整像が明らかとなった.上記所見より緊急開腹術を施行したところ,糞石を有する急性虫垂炎による穿孔性腹膜炎と判明した.虫垂が完全にバリウムで描出されていようとも,虫垂内糞石がある限り急速に虫垂炎へと進展しうることを銘記する必要があると考え,若干の文献的考察を加え報告する.(著者抄録)
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YOKOO, N., KITAMURA, K., TAKEMOTO, K., SHIGETA, T., & WAGATA, T. (2007). A CASE OF ACUTE APPENDICITIS APPEARED FIVE HOURS AFTER A BARIUM FLUOROSCOPIC EXAMINATION OF THE UPPER GASTROINTESTINAL TRACT. Nihon Rinsho Geka Gakkai Zasshi (Journal of Japan Surgical Association), 68(8), 1994–1998. https://doi.org/10.3919/jjsa.68.1994
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