総 説 MR 関連英語論文における文章構成法 三 木 幸 雄 大阪市立大学大学院医学研究科放射線診断学・IVR 学教室 は じ め に 第 47 回日本磁気共鳴医学会大会(2019 年 9 月,熊本)において,同学会の編集委員会共催 による「MRI 論文執筆の傾向と対策」という シンポジウムが開催された.このシンポジウム で,筆者は「スムーズかつ論理的に英文を繋げ る方法,アクセプトされやすい画像を準備する 方法」というタイトルの講演を担当したが,そ の講演の前半で話した英語論文執筆方法につい て本誌に寄稿するようにとのご依頼を頂いたの で,本稿に英語論文構成についてのエッセンス をまとめた.例文は MR 関連の論文から引用 し,MR 関連論文執筆において留意すべきこと についても記載したが,MR 関連以外の医学論 文執筆にも役立つ内容であると自負している. なお,本稿は,以前他誌で出版した小稿 1) の内 容に,大学院生の論文指導および論文査読・雑 誌 編 集 の 経 験 , 医 学 雑 誌 編 集 者 国 際 委 員 会 (International Committee of Medical Journal Editors ; ICMJE)の勧告(2019 年版) 2) ,最近出 版された書籍 3)~7) および米国の大学の academic writing コースのテキスト 8)~11) の内容を加味 したものである. パラグラフ・ライティング パラグラフ・ライティング(paragraph writ-ing)とはパラグラフ(段落)を論理的に構成 するための文章構成法であり,科学論文執筆の 際に身につけておくべき基本的スキルのひとつ である 1),5),6) .以前は日本の英語教育ではパラ グラフ・ライティングについてほとんど教えら れて来なかったが,最近では英語論文執筆に関 する多くの書籍で,パラグラフ・ライティング の重要性が強調されている 3),5)~7) .日本人が書 く論文には,パラグラフ・ライティングを意識 していない論文が多いが,パラグラフ・ライ ティングに慣れている欧米の査読者がこのよう な論文を読むと論理構成がわかりづらくなる. 逆に言うと,パラグラフ・ライティングに基づ いて文章を構成すると,外国人の査読者にとっ ても理解可能な文章構成となりアクセプト率が 高まると言える. パラグラフ・ライティングに基づいたパラグ ラフの作り方は至ってシンプルである(表 1) . 英語論文は複数のパラグラフで構成されている が(図 1) ,各パラグラフのトピックは一つに 絞り,各パラグラフのトピックを,第 1 文(ト ピックセンテンス)で明示する.第 2 文以降 は,議論の発展,例示,詳細の説明などによっ て論理的に文をつなぎ,そのパラグラフの中心 的な考えを具体的に説明する(development) . 次のパラグラフにつながりやすくするために, パラグラフの最後に短い結びのセンテンスを置 いてもよい 7) . トピックセンテンスはそのパラグラフの中で 最も重要な文である 6) .トピックセンテンスで は,必ずしもそのパラグラフで述べたいことの 結論を述べなければいけないというのではな く,そのパラグラフのトピックを提示するので 十分である.ただし,書いているうちにトピッ クが少し変化することもあるので,トピックセ ンテンスがそのパラグラフのトピックを示して 2 2020 年 5 月 25 日受理 表 1. パラグラフ作成のポイント 各パラグラフのトピックを第一文で明示する. 一つのパラグラフのトピックは一つに絞る(脱線しない) . パラグラフの中で,そのトピックに関しては十分に議論しつくす (後のパラグラフで同じトピックを蒸し返さない) . 図 1. パラグラフの模式図(文献 1) より改変) 論文は複数のパラグラフから構成される.各パラグラフの最初の文(トピックセンテンス)でそのパラグラフの トピックを明示し,続く文でそのトピックに関係する内容を論理的につなぐ. 2 日磁医誌 (2020) J-STAGE 早期公開 いるかどうか,後で推敲することをお勧めす る.また,パラグラフのトピックは一つに絞る 必要があるので途中で他のトピックに脱線して はいけない.もし他のトピックについて述べた い場合は,別のパラグラフを作ってそこで述べ るべきである.長すぎるパラグラフは,トピッ クを二つに分け,二つのパラグラフに分割する とよい 7) . 以下に,論文の各セクション(Introduction, Materials and Methods, Results, Discussion) でのパラグラフ作成のポイントを述べる.
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MIKI, Y. (2020). English Sentence Organization for Papers Related to Magnetic Resonance. Japanese Journal of Magnetic Resonance in Medicine, 40(4), 129–142. https://doi.org/10.2463/jjmrm.2020-1715
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