金沢工業大学教授高信頼ものづくり専攻(元)トヨタ自動車 株(〒105 0002 東京都港区愛宕 1 3 4 愛宕東洋ビル12F) Today's and Future's CFRP Materials for Automobile; Yuji Kageyama(Kanazawa Institute of Technology, Tokyo) Keywords: CFRP(carbon fiber reinforced plastic), eco friendly car, recycle, cost, LCA(life cycle assessment) 2014年 7 月22日受理[doi:10.2320/materia.53.612] 図 1 今後の軽量材料. 図 2 CFRP の特徴. 小 特 集 自動車用 CFRP 技術の最新動向 影 山 裕 史 . 自動車と環境 エコカーへの取り組み 地球温暖化や資源枯渇等の地球環境問題への取り組みは自 動車も例外ではなく,エコカー開発など,各社,開発を強化 している.トヨタ自動車においてもプリウスをはじめとした HV 車の販売台数が年々増加し,2013年末に累計が600万台 を超えた.HV 車以外にも電気自動車(EV)や燃料電池車 (FC),代替燃料などのエコカーの開発を並行して実施中で ある. 軽量化による CO 2 低減 エコカー開発において切っても切れないのが軽量化で,こ れによる低燃費化,それに伴う CO 2 削減努力により地球温 暖化に貢献しようとする試みも増え続けている.軽量化とし て,高張力鋼板の開発・導入が積極的に進められている.ま た,非鉄や樹脂といった軽量素材が増えてきている.特に樹 脂は車全体の 1 割程度まで増えてきた.樹脂化のほとんど は,内装材だが,それ以外にも,燃料タンクやエンジン吸気 系のインテークマニホールドなど,耐腐食性や形状自由度と いった樹脂ならではの特徴を活かした部品への展開も確実に 増え続け,30近い部品軽量化に繋がっている.今後は, 金属,無機,有機材料のそれぞれの研究が更に進む一方,そ れらを複合化(ハイブリッド化)することにより,それぞれの 特徴を活かす新たな位置づけの材料開発が進んでいくものと 考える.表題の CFRP(carbon fiber reinforced plastic)も, 無機の CF(炭素繊維)で R(強化)した P(プラスチック)で, これまで航空宇宙や F1 ボデー材料であった CFRP の自動車 への量産展開が,期待されている(図). . 自動車と CFRP の現状 世の中の動向 CFRP は,前述したように高性能繊維の炭素繊維により 強化された樹脂系複合材料であり,高価格ではあるが,軽 い,強い,固い,寸法精度が良いなどの特徴(図)から航空 宇宙素材として揺ぎ無い位置づけを保っている.その技術が 欧州を中心に自動車部品にも拡大されつつある.その中でも プロペラシャフトは少量ながらも古くから採用されてきた部 品である.最近では,燃料電池車に搭載される水素タンクの 素材としても採用が進んできている.また,スーパースポー ツ車のボデーにも F1 の CFRP モノコック技術が採用されて きている.CFRP に変えることで F1 での事故死亡率が激減 したという.また,スポーツ車の外板にも欧州を中心に採用 が目立ってきている.更にエコカーでは,BMW が i3 で
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Kageyama, Y. (2014). Today’s and Future’s CFRP Materials for Automobile. Materia Japan, 53(12), 612–615. https://doi.org/10.2320/materia.53.612
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