Lotus Thought in the Literary Works of Miyazawa Kenji

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宮沢賢治(1896-1993)は,日 本の近代 文学における重要な童話作家としてよく知 られてい る.そ れは彼 の童話作品に特殊性 があるか らである と思 われる.高村光太郎氏と分銅惇作氏 は賢治 を 「コスモスの所 持者 」,「塵点劫 の旅人」とよばれた こ とが あるし,又,芸 術人,法 華経行者,農 業技 師(科 学者),農民の友 としての実践人と評価 されているが,こ れらは彼の生涯と作品の特殊性 を理解するキーワー ドであるように思われる.こ のような作品が創作できた原動力はいったい何であったのか.その答えにつ いてはすでに諸学者達の研究が続 いてきているが,そこに共 通とである. 彼の本家のご両親は浄土真宗の信者であって,彼もやはり幼年期には ご両親と共に浄土真 宗を信 じていたが,18歳 以後の改宗がきっかけになって彼 は求道的な菩薩行を実践しようとい う意 志を もって 日常生活 にすす めた.大乗仏教 の思想,即 ち法華 文学 の暢達 を誓願したあと彼 は一・生懸命 に創作のため努 力した.18歳 の時,島地大等著編 の 「漢和対 照妙法蓮華経」 を読 み,そ の あ と法華経 が生涯の信仰となったこ とはよ く知 られている.賢治は結局後に「国柱会」に入会(1920年,24歳)し て信仰 と布 教 に勉 め,自 分のご両親の改宗を熱望したが容 れられず,25歳の時,東 京に出て本郷の菊坂町に止宿し,昼 間は"文信社"という出版社で筆耕や校定等をし,夜は「国柱会」で講演などをして信仰活動しながら自活し,上野公 園などでは街頭布教もしたこ とが ある.あの当時 「国柱会」の高知尾耀 氏から文芸による大乗仏教の普及をすすめられた と言 われてい る.賢 治 は法華文学を暢達するために努力した.'賢 治の一生を回顧してみると彼が法華経に深趣し,「国柱会 」に入会する以前は疾風怒涛のような青年期を送ったこ とが想像でき る.法 華文学の暢達を誓願した後,彼が執筆した原稿量が一個月 3000枚も達したというエ ピソー ドがつたわっている.しかし,い ざ本人が生きている間は作品集の刊行 はわず か2冊に止まってい る.詩「春 と修羅」と童 話集「注文 の多い料理店」がそれであるが,2冊とも自費出版であったことはよくしられている.37歳 という若い年でな くなった彼 は死ぬまえに自分の父親当てに 「国訳妙法蓮華経 」1000部を刊行をして次の文章をいれて布施 して くださ ることを遺言 した. "私 の生涯 の仕事 は この経 をあたなのお手もとにとどけ ,そ して其 中にあ る仏 意に触 れて あな たが無上道入 られるこ とをお祈 りす るこ とです"と 書 いて知 己に頒布 す ることであった. 彼 の作 品 と文学精神 は法華経 の思想から至大な影響を受 けた こ とはよ く言 われ ているが,彼 の法華 文学については次 のようにまとめることができ るだろ う. 1)宮 沢賢治の作品は大乗仏教の真理を説くためにかかれたものであるからそうした真理の「解明手段」としてよむ必要がる.しかし,このような見方には文学を文学として見る自立性を失い疑いがあるのは言うまでもない. 2)賢治の文学精神が確認できるのは,彼の晩年に書かれた次ぎの文章である."断じて教化の考えるべからず,ただ純真に法楽すべし"という自戒で,賢治の文学精神の意味がよく把握できるだろう.

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CHO, M. (2003). Lotus Thought in the Literary Works of Miyazawa Kenji. JOURNAL OF INDIAN AND BUDDHIST STUDIES (INDOGAKU BUKKYOGAKU KENKYU), 51(2), 952–948. https://doi.org/10.4259/ibk.51.952

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