The rectifying effect of spin-polarized radio-frequency (RF) current through ferromagnetic resonance is found in a single-layered ferromagnetic wire. The direct current (DC) voltage is generated by the magnetoresistance oscillation and the planer Hall effect due to the magnetization precession by the RF current. We show that the application of DC current with RF current is possible to excite the additional spin wave modes, detected by using a technique of microwave rectification. 1. はじめに ハードディスク・磁気抵抗メモリ(MRAM)や磁気センサ ーなどの分野が大きく発展して拡大するに伴い,ナノメー トルからマイクロメートルサイズの強磁性体素子が形成さ れるようになってきた.デバイスの高速動作性能を決定す るのは, この微小サイズの強磁性体素子の動的挙動である. すなわち,ナノ磁性体における磁気モーメントの動的挙動 を研究することは基礎的な研究のみならず応用研究におい ても非常に重要な意味を持っている 1) . また,ナノ磁性体では電流と磁気モーメントとの相互作 用が引き起こす顕著な現象が多く報告されている. 例えば, 強磁性層/非磁性層/強磁性層の多層構造を有するナノ磁 性体では,電流による磁化反転現象(スピン注入磁化反転 現象) 2-5) や高周波電流入力による直流電圧発生現象などの 研究報告 6, 7) がある.また,その逆現象でスピンポンピング 効果 8, 9) も報告されている.特に 3d 系強磁性体金属では, 磁気モーメントを形成する d 電子と電気伝導を担う s 電子 が混成しているため,多層膜複合構造におけるスピン注入 効果による磁気状態励起現象は単層膜構造においても起こ ることが知られている.単一磁壁の電流駆動現象は典型的 な例であろう 11-13) . 最近,筆者らはマイクロ波を単層膜構造のナノ強磁性細 線に印加すると,その細線両端に特定周波数において直流 電圧が発生することを発見した 14) .この現象は,1960 年代 に Juretchke らによって行われた強磁性薄膜における強磁性 共鳴(FMR)時の直流電圧発生現象 15) と起源はほぼ同じであ る.前者は,実験的配置から考慮すると,スピントルクに よる磁気モーメントの歳差運動励起が原因であり,後者は 電磁場励起による磁気モーメントの歳差運動励起が原因で あると考えられているが,いずれにしろ磁気モーメントの 歳差運動を何らかの方法で誘起され,強磁性体金属の磁気 抵抗効果に時間依存性(周波数依存性)を与えることによ って直流電圧が発生する.このとき,強磁性体中にスピン 波の定在波が形成されていると考えられる 1) .細線のよう に空間的に制限された構造を有するナノ強磁性体では,ス ピン波の量子化や細線端部のような場所から誘発されうる 非一様な内部磁場領域でのスピン波の局在化現象が起きる ことが報告されている. 本研究では,マイクロ波をミクロンサイズの強磁性細線 に入力したときにスピン波共鳴が励起され,その際に細線 長軸方向だけではなく,細線短軸方向にも直流電圧が発生 する物性機構について研究を行う.また,直流電流をマイ クロ波に重畳した際の直流電圧スペクトルの変化について 報告する. 2. 実験方法 電子線リソグラフィーとリフトオフ法を用いて,MgO 基 板上に Ni 81 Fe 19 細線を作製した.細線の厚みは 30 nm であ り,線幅は 5 µm である.図 1 に測定回路概念図ならびに試 料の光学顕微鏡写真を示す.高周波電力を印加するために 短絡型のコプレーナーガイド形状の電極を Ni 81 Fe 19 細線に 接続した. 電極材料は, Cr(5 nm)/Au(20 nm)/Cu(50 nm)/Au(20 nm)である.細線長軸方向に高周波電力を印加して,バイア ス T を通じて細線長軸方向に発生する直流電圧 DC L を電圧 計 V[1]で測定した.それと同時に細線短軸方向に発生する 直流電圧 DC S を電圧計 V[2]を用いて同時測定した.外部静 磁場は,図 1 に示すように細線長軸方向から φ だけ角度を 傾けて面内に印加した.実験は,室温・大気中で行った. 論文が受け付けられてから以下のような処理手続きをとる. 3. 実験結果と考察 外部静磁場 500 Oe を 30 φ = で印加し,高周波発生器か らの出力を-5dBm と固定して 15GHz まで周波数掃引を行っ て高周波電力を Ni 81 Fe 19 細線に入力した.そのときの細線 334
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Yamaguchi, A., & Miayajima, H. (2008). Direct Current Voltage Induced by Radio-Frequency Current in Ferromagnetic Wire. Journal of the Magnetics Society of Japan, 32(3), 334–337. https://doi.org/10.3379/msjmag.32.334
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