Analyses and assignments of reflection high-energy electron diffraction patterns of Si(100) surfaces are demonstrated for the practice. Several check points for the RHEED analysis are described. に載っているが, 実際の実験でよく観察されるような 「美 1.は じ め に しくない」RHEED 図形での解釈の具体例となると既報 反射高速電子回折 1) (reflection high-energy electron dif-論文をみることとなる。ところが既報の論文の場合,あ fraction: RHEED)は,固体表面および薄膜の周期構造を きらかに誤った解釈をしているものがある。以下に具体 観察する手法として幅広く用いられている。低速電子回 例をあげる。 折(low energy electron diffraction: LEED)が 表 面 周 期 構 よく誤った解釈として「表面スポットがストリークに 造決定をはじめとする基礎研究において広く用いられて なっているので表面は平坦である。 」 というのがある 11) 。 いるのに対して,RHEED は表面に存在する微結晶粒子 これは物理的には誤っている。確かに,このようなスト の構造や双晶欠陥など,LEED では観察困難な情報も得 リークが観察される表面の電子顕微鏡像は平坦な場合が ることができるため,分子線エピタキシーを用いた薄膜 多いため,帰納的にはそのような解釈は可能なのかもし 形成をはじめとする応用研究においても威力を発揮する れない。しかし演繹的に考えると,ストリークになって 観察手法である 2) 。 いるのは表面の周期構造のコヒーレンスが良くないため LEED 図形 3) は表面の逆格子空間をほぼ歪みなく表し にラウエ函数の収束が悪くなり,逆格子ロッドが太くな ているため解釈しやすいのに対し,RHEED 図形の場合 っているために,逆格子ロッドのエバルト球での断面が には歪みを補正して解釈する必要がある。更に,表面周 「竹を斜に割ったように」細長くなるからである,とい 期構造に由来する回折斑点の他に,微結晶粒子や双晶に う解釈が正しい 12) 。したがって,表面スポットがストリ 由来する回折斑点,さらに表面近傍のバルクの構造に由 ークになっている「ので」表面は平坦である,というの 来する菊池図形 4) も考慮しなければならない。RHEED は論理的に誤っている。また,二重回折による回折斑点 に関する教科書・参考書的な素晴らしい解説 5~10) はすで を表面周期構造と解釈して 2×1 構造を 2×2 構造と解釈 にいくつかあるが, 「問題集」 に対応する,実際の RHEED している間違いもみかけることがある 13) 。また,菊池線 図形の解釈の具体例となると 「問題」 がある。すなわち, の交差点を回折斑点として解釈している文献もしばしば 清浄表面での美しい RHEED 図形での解釈は「教科書」 みかけることもある。しかしこれらのような誤った解釈 はまだ「良い方」であり,最もひどいものになると,表
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TAKAMI, T. (2004). Practice of the Analysis of Reflection High-Energy Electron Diffraction Pattern. Hyomen Kagaku, 25(6), 363–369. https://doi.org/10.1380/jsssj.25.363
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