Molecular mechanism of maternal inheritance and sexual differentiation

  • Nishimura Y
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11 INVITED REVIEW はじめに 1900 年, ドイツのコレンス, ド ・ フリース, オースト リアのチェルマックら 3 人の研究者によってほぼ同時期 にメンデルの法則が再発見された. それから 9 年後の 1909 年, コレンスはオシロイバナ (Mirabilis jalapa) の 葉の色に着目し, これがメンデルの法則に従わず, 母 親のみから次世代に遺伝すること (母性遺伝) を発見し た. 同年, ドイツのバウアはゼラニウムの葉の斑入りが 両親から遺伝すること (両性遺伝) を報告した. その後 の精力的な電子顕微鏡観察によって, この奇妙な遺伝 様式が, 葉緑体の異常に由来すると推定された (総説 Hagemann 2010). 葉緑体の DNA (cpDNA) の存在が 証明されたのは, 細胞質遺伝の発見から半世紀以上 経た 1963 年のことである (Sager and Ishida 1963). 一方, ミトコンドリア遺伝の研究は, まずアカパンカ ビや酵母の呼吸欠損変異の非メンデル遺伝の解析とし てはじまった. 1970 年から 1980 年にかけて, アフリカ ツメガエル, ほ乳類 (ロバ), マウス, ショウジョウバエ, さらにヒトなど様々な生物種において次々にミトコンドリ ア (mt) の母性遺伝が報告されてきた. 現在では, い くつかの興味深い例外はあるものの, mt/cpDNA の母 性 (片親) 遺伝はヒトを含む多くの真核生物 (動物, 被 子植物, シダ, コケ, 藻類, 原生生物等) に共通する 普遍的な現象であることが明らかになっている (Birky 2008, Kuroiwa 2010). 母性遺伝の古典的説明とその問題点 それでは, ミトコンドリアや葉緑体の母性遺伝は一体 どのようなしくみで起きるのだろうか?一説には, 卵と 精子のサイズの違いが重要な役割を果たしていると言 われる. 確かに卵は大きく, 一個当たり少なくとも 10 4 ~ 10 8 コピーのミトコンドリア DNA を含むといわれる. そ 葉緑体母性遺伝の分子機構と性 西村芳樹 1, 2 1 京都大学大学院理学研究科植物分子遺伝学研究室 〒606-8502 京都市左京区北白川追分町 2 JST さきがけ 要旨 : ミトコンドリア (mt) や葉緑体 (cp) の遺伝子は多くの生物において母親のみから遺伝する (母性遺伝). これまで母性遺伝は, 父母の配偶子 (精子 ・ 卵子) の大きさが異なり, mt/cpDNA 量に差があることが原因と 考えられてきた. これに対し, 雌雄同形の配偶子で生殖をおこなう単細胞緑藻クラミドモナス (Chlamydomonas reinhardtii) では, 接合後 60 分以内に雄の葉緑体 (cp) DNA が積極的に分解されることで母性遺伝が引き起こさ れる. 本レビューでは, この雄葉緑体 DNA の急激かつ選択的な分解を明らかにしてきた生化学, 細胞学, 顕微分 子生物学的研究の数々について俯瞰し,さらに母性遺伝の分子機構に迫りつつある遺伝学的な挑戦について述べる. Summary: Chloroplast (cp) and mitochondrial (mt) genomes are inherited almost exclusively from one parent in diverse taxa of plants and animals. Uniparental inheritance of mt/cp genomes was long thought to be the passive outcome of the fact that eggs contain multiple numbers of organelles whereas the contributions from male gametes are limited. However, the process is likely to be more dynamic because uniparental inheritance occurs in organisms that produce gametes of identical sizes (isogamous). In Chlamydomonas reinhardtii, uniparental inheritance of cp/ mt genomes is achieved by a series of mating type-controlled events that actively eliminate mating type minus (mt-) cpDNA within 60 min after mating. How Chlamydomonas selectively degrades mt-cpDNA has long fascinated researchers and is the subject of this review.

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Nishimura, Y. (2011). Molecular mechanism of maternal inheritance and sexual differentiation. PLANT MORPHOLOGY, 23(1), 11–16. https://doi.org/10.5685/plmorphol.23.11

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