19歳女.14歳時に腟内に棒状異物を挿入され,当初の疼痛,出血は数日で軽快した.今回,パートナーができたため異物抜去を希望し受診した.腟口より視認可能な異物を認め,MRIのT2強調像で異物の直腸内への穿通が疑われ,腟内の瘢痕性狭窄も認めた.大腸内視鏡では肛門より12cmの直腸上部に強固に硬便が付着した異物の先端を確認した.1週間の絶食の後,全身麻酔下に砕石位で腟内異物を把持し牽引抜去を試みたが,肉芽組織により包埋されて不可能であった.このため電気メスで瘢痕性癒着部位に切開を加えながら,少しずつ腟壁との剥離を行い,抜去できた.瘻孔は肉眼的に確認できず,周囲を十分にデブリドメントした後に絶食で自然閉鎖を期待した.異物は長径12cmのプラスチック製アイスクリームの棒で,先端部分が直腸内に穿通し,中間の傘の部分が後腟円蓋に止まっていた.31日間の絶食の後に注腸造影で閉鎖を確認し,34日目に退院した.その後性交可能となって妊娠し,予定帝王切開で出産に至った
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福井里香, 梅本雅彦, 辻勲, 塩田充, & 星合昊. (2004). 5年間放置され直腸腟瘻を形成した腟内異物の1症例. 産婦人科の進歩, 56(3), 293–297.
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