Surface Energy of Metal Nitrides Analyzed by First Principles Calculation

  • NAKANISHI R
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Abstract

1 .はじめに 現在,超微細加工によるナノ構造体の作製において,原子 や分子スケールで表面や界面の平坦性ならびに構造を制御す る必要が生じている。それゆえ,原子や分子スケールでの表 面と界面の解析が必要となっている。しかし,原子や分子は 分光技術で用いられる光の波長より小さいため,実験的解析 は困難である。そこで,原子や分子スケールで制御が必要な 材料表面において,計算機シミュレーションの重要性が認識 され始めている。 本論文では,材料を原子や電子の集合体として扱う分子シ ミュレーション法を紹介したうえで,金型コーティング膜の 離型性予測を目的として,第一原理計算を用いて金属窒化物 の表面エネルギーを計算した内容を紹介する。 2 .材料開発における計算機シミュレーション 2.1 計算機シミュレーションについて 現在,材料開発において計算機シミュレーションは欠かせ ないツールとなっている。これにより,材料のスケールに応 じた物性の予測が可能となりつつある。本節では,材料を原 子や電子の集合体として扱う分子シミュレーション法につい て,その特徴を説明する。 分子シミュレーション法は古典的分子動力学法,モンテカ ルロ法, 第一原理計算法に大別される。古典的分子動力学法は, 多原子系における個々の原子の動きについて運動方程式を解 くことにより,系の静的,動的過程を求める方法である 。 温度や圧力を考慮した計算が可能という特徴を有する。有限 要素法で取り扱うことのできない原子レベルの変形・破壊現 象を計算することができる。しかし,経験的ポテンシャル関 数が必要であることや計算量が膨大となる欠点もある。本計 算法を用いて,充填ゴムの力学特性に関する研究 や Al およ び Cu ナノ結晶中の欠陥構造に関する研究 などが報告されて いる。 次にモンテカルロ法は,乱数を用いたシミュレーションを 繰り返すことにより,実現可能性の高い状態を推定する計算 法である 。特に,結晶成長のシミュレーションに適用され ることが多い。たとえば,100×100 原子あるいはそれ以上 の大きい表面上で,原子が積み重なって薄膜を形成する過程 を再現できる。本計算法を用いて,Si (100) 表面上に形成し たナノメートル程度の島の崩壊過程の研究がなされている 。 しかし,実験パラメータが必要であることや原子の動きを連 続的に追跡できないという欠点がある。 最後に第一原理計算法であるが,この手法は実験パラメー タを用いることなく,量子力学や固体物理を基礎として非経 験的に,電子・原子レベルにおける固体の電子状態や物性を 求めることが可能な手法である 。 古典的分子動力学法およびモンテカルロ法は,いずれも材 料定数あるいは実験パラメータを必要とする。このため,金 属や金属窒化物,半導体などの物性を研究するためには十分 でない計算方法である。これに対し,第一原理計算法は材料 定数や実験パラメータが不要であることから,これらの研究 には有効な手法と考えられる。次節では第一原理計算法につ いてより詳しく説明する。 2.2 第一原理計算の概要 第一原理計算法は,新しい材料や構造に対して,実験を行 うことなく信頼性の高い結果を得ることができる 。古 典的分子動力学法やモンテカルロ法と比較して計算量が増加 するものの,これらの手法を適用することが難しい (1) 異種 材料界面や欠陥,表面の特性評価や, (2) 新機能を有する素 材や材料の組合せの探索などに用いられている。 密度汎関数理論 , に基づく第一原理計算では,系の全 エネルギーが電子密度の汎関数として表されることを用いて, 基底状態の波動関数を数値的に求める。また,スピン分極を 考慮した計算も可能である。系が N 個の電子を含むとき, スピン分極を考慮しない場合には式 (1) と (2) で示すコーン シャム方程式 , を解くことになる。 2 2 ' ' ' 2 () [ ()] [ () ] () () 2 () xc ext i i i n r E n r v r dr r r m n r r r δ φ εφ δ ∇ − + + + = − ∫ (1) 金属窒化物の表面エネルギーに関する第一原理解析 中 西 亮 太 a a 岡山県工業技術センター 研究開発部 (〒 701-1296 岡山県岡山市北区芳賀 5301)

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NAKANISHI, R. (2013). Surface Energy of Metal Nitrides Analyzed by First Principles Calculation. Journal of The Surface Finishing Society of Japan, 64(10), 547–550. https://doi.org/10.4139/sfj.64.547

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